こんにちは。
プロフェッショナルコーチの中原宏幸( @coach_nakahara)です!
プロコーチをしていると、当たり前ですがクライアントさんのゴール設定に立ち会うことになります。パーソナルコーチングにおいてはいろいろ具体的なお話もできるのでとくに問題ないのですが、セルフコーチングをされている人で『もったいないなぁ・・・』と思うことが最近いくつかあったのでご紹介します。
それは素晴らしいゴール設定をされているにもかかわらず、アクションの仕方、実際の取り組み方が現状の延長線上であるということです。
この記事では『現状の外のゴール設定後の現状の外へ向かう行動』についてお伝えします。これはコーチになる前の私が見逃していた最大の盲点でもあり、多くの人たちも気付きにくい大きな盲点の一つです。
1.ゴール設定の後、何が変わったのか?
先日お話したあるクライアントさんが『ゴール設定が長い間出来なかったけどようやく見つかりました。』とおっしゃっていました。それは素晴らしいことなのですが、その後『その道のスキルを極めていきます!』というようなことをおっしゃっていました。(その人には個別にアドバイスしました)
もちろんゴールの達成方法に正解や不正解はないのですが、極めるというのは勘違いをしやすい表現だと思われます。
以前の記事で取り上げた例なのですが、『1年後にアメリカでライブを成功させる!』というゴールを設定したとしましょう。もし先の人でしたら『基本から自分の演奏技術を見直して、さらに一段階レベルアップするぞ!!』と思って部屋にこもって練習に励む可能性があるということです。
間違いではないと思いますし、必要なことだと思います。ですが、冷静に考えてみてください。彼(もしくは彼女)はおそらくこれまでも同じように練習してきているはずです。
そして新たに素晴らしいゴールを設定しました。しかしやり方はほとんど今まで通りだと思いませんか?ちなみに今まで以上にというのは現状の延長線である可能性が非常に高いです。
もちろん基本は大切ですし継続も重要ということは分かった上で書いています。
現状の外側のゴールなのに今までと同じ行動・・・
これって本当に正しいのでしょうか?
2.今さら聞けないゴールと目標の違い
ところでゴール設定と目標設定の違いをあなたは説明できますか?コーチングに詳しい人ですと『現状の外を目指すゴール設定と現状の最適化を目指す目標設定』と答えるかもしれません。ちなみにこれは大正解です。
2-1.目標設定とは
これを踏まえて行動を見て行きましょう。目標設定をしたら現状の最適化、すなわち生産性を上げるように調整していくことが多いかと思います。如何にして大きな成果、結果を出していくかを思考し、行動に移します。当然ですが結果が重要です。
2-2.ゴール設定とは
一方ゴール設定はどうでしょうか?
ゴール設定をしたらその瞬間、自分の中の重要性が変化します。そのため新しいチャレンジの必要性や、やりたいことが見えてきて自分の中でダイナミックな変化が起きます。ここで重要なのは新しい情報にアクセスできたということです。ゴール設定前には見えなかった情報や世界が見えた、そしてそれに『ときめいた』ということですね。ということはもちろん『ゴールへの行動』といったときには新しい情報、すなわち現状の外へ向かっての行動ということになります。
このゴールへの行動で重要なことは『行動するからゴールに近づく』ということだけではありません。行動することによって現状が大きくゆらぐということです。自分の中での重要性やセルフイメージなども含めて大きく変化します。この変化が最も重要なのです。ですから目標と違いゴールは達成することより現状がどう変わったか?の方がより重要ということです。
ですから、ゴール設定したにもかかわらず、現状の中での調整をしてしまう、それを行動だと思ってしまうと非常にもったいないのです。
3.正しくゴール設定していると失敗の概念がなくなる
正しくゴール設定できていると、設定した瞬間から達成の瞬間まで楽しくてしょうがない状態です。もちろん”ただ楽”というわけではなく、ダイナミックな喜怒哀楽を楽しみながら大好きな未来に向かって進んでいく喜びを常に感じているという意味です。
ですので、高い視点で捉えるなら『もしやり方が間違っていたとしてもそれさえ楽しんでしまえ!!!』ということになってしまいます。(理論上は)
ですが、私の経験(過去の自分やクライアントさんを見ていて)からコーチングを学んでいるという自信から余計に盲点に気付きにくくなっているケースが多々見受けられました。
それはズバリ行動です!もちろん行動するかしないかではなく、どのように行動する、行動し続けるかということです。
4.ゴールに見合った行動を選択する必要性とスコトーマの怖さ
単純に考えて現状の外のゴールを設定したら、それに見合った『現状を変化させるような行動』をする必要があると思いませんか?どのような行動かを具体的に書くことは難しいですが、少なくとも昨日までやってきたことだけではないはずです。
それは何も基本的な練習や鍛錬なんて必要ないなんてことを言っているわけではありません。私も基本や基礎練習は大切にしていますし、日々精度を上げていくべきだと確信しています。
ですが、真面目な人ほど”自分の技の精度や完成度、パフォーマンス”にロックオンしてしまう傾向があります。ロックオンするということは、それに照準を合わせるがためにそれ以外がボヤけてしまうことを意味します。
つまりその他が盲点になりやすいのです。先の例ですと自分の技術の完成度に捕われてしまうと一番大切な『その技術で誰の役に立ちたいのか?』というゴールの本質を見失ってしまうことになりかねません。今までと同じように効率を上げってもっと頑張れば・・・というのは大きな盲点です。
実際TPIEを受講しセルフコーチングを実践していた私は『基礎練習が最重要課題、あとは時間があれば・・・』くらいに本気で思っていました。
もちろんケースバイケースであることはわかっています。ですがコーチングの基本はゴール側から現状を観ることです。イメージでゴール達成している自分を先取りすることが重要なのです。
つまりゴール逆算式だと言えます。(もちろん全てではありませんが)
『1年後自分は〇〇になって活躍している。そうであるなら今何をするべきか?』と考えるべきです。
この視点が無いと、先の『1年後にアメリカでライブを成功させる!』というゴールを設定したにもかかわらず、10ヶ月前までひたすら部屋にこもって練習をするということを意外とやってしまうということです。
側から見ればそんなことする人なんていないだろうと思うかもしれませんが、”自分の技の精度や完成度、パフォーマンスを磨くこと”にロックオンしてしまった人は結構やってしまうのです。
それがスコトーマの怖さなのです。
5.『まだまだ自分なんて』は言い訳にならない
行動できない悩みは過去の私も持っていましたし、よく相談も受けます。実はこの”行動”ができない理由も掘り下げてみると原因はたった一つです。
それはゴール側の自分の視点で現状の自分を観ることができていないということです。
行動できない人は『まだまだ自分なんて・・・』という気持ちが無意識の中に存在しています。見方を変えると”失敗を恐れている”などいろんな捉え方ができると思うのですが、現状の自分ベースで取り組むべきことを判断しているのでなかなか自分にOKが出せないのです。
もしこれがゴール側の視点で現状を見ることができていたら、
- 私は成功は確信している。だから失敗を恐れる必要はない、どんどん行こう!
- 私は成功は確信している。失敗は自分を加速させることを知っている、どんどん行こう!
- 私は成功は確信している。成功の可能性があるのにやらない理由はない、どんどん行こう!
このようにごく自然に判断することができます。
実際に行動に移す際、ゴール側から観ることが”出来ていない”と書きましたがこれもスコトーマです。(実力や能力の問題ではありません)ゴール設定した時はゴール側からの臨場感を保てていたのですが、行動となった時につい、いつもの癖で物理的現状から判断してしまったのです。
ですからこのことでエフィカシー(ゴール達成に対する自己評価)を下げる必要は全くありません。
6.ガンガン見切り発車で行きましょう
ゴール設定してもなお、今までの行動を続けたがる人『新しいことを始める準備がまだ出来ていません・・・』とおっしゃいます。
結論から言いますと、ガンガン見切り発車で行くべきです。何かを、誰かを待つ必要は全くありません。技術を磨くような行動はすればするほど自分の出来ていない部分や課題がどんどん出てきます。ここで納得いく水準を目指していたらいつまで経ってもスタートさえ切れません。
もしあなたの尊敬する(ゴール側の)人がいるのであればその人をよく観てください。(可能であれば付き人のようなことをさせてもらいましょう)日々のタスクを並列的に処理しているはずです。(逐次的にやっていてはほとんどの場合通用しません)
『これを終わらせてから、これに取り掛かるぞ。』とはやっていないはずです。サッカーの試合でパスをもらうために立ち止まる人がいないのと同じ理由です。(次の行動を読みますよね?)
もしどう考えても今の自分には不可能だと思ってしまったときは、ここでもやはりゴールの自分から判断してください。
ゴールのあなたなら確実にできるはず、やっているはずです。実力不足だとわかっていても失敗を気にせず挑戦していますよね?
それでも失敗ができないとき、するべきではないときは、実力不足を補うための行動をするだけです。(ワンクッション挟むだけです)
7.極めるというのは結果論
趣味のゴールにおいて、何かを極めるというのはただただ楽しいものです。ですが仕事のゴールにおいては極めることを最優先するべきかどうかを考える必要があります。
仕事の定義は『自分の好きなことで社会に役割(付加価値)を提供すること』です。そこには当然、相手(お客さん、クライアントさん)がいて、スタッフやチームがあります。
他者を巻き込む場合は取り組むべき優先順位を自分勝手に決定する訳には行きません。
これはミュージシャンあるあるなのですが、ライブ前のリハーサルを繰り返していると無性に基礎練習を徹底したくなってしまうことがあります。理由としてはリハーサルを詰めていく中で自分のアラを直視することになって『こんなの自分らしくない!』という想いが湧いてきて、軽い認知的不協和になるためだと思われます。
私も何度も経験があるのですが、ここで自分の都合でリハーサルを中止して基礎練習に打ち込むことはありえないでしょう。
なぜなら精一杯の演奏を提供することがこの場合のゴールだと言えるからです。
実は現状の外へ繋がる新しい行動をするために他者を巻き込むことはとても有効です。(そのために巻き込む訳ではありませんが)
自分一人だけで考えるとどうしても小さくなってしまう傾向があります。
ですから仕事のゴールはもちろんですが、趣味においても誰かを巻き込む(幸せにする)ことで、それまで考えもしなかったアイディアや行動を実行してみたくなってくることがよくあります。極めるというのは、私も音楽をやっていますので夢中になって何かに打ち込むこと大好きですし、技を磨きたい気持ちもよくわかります。
ですが、そのことで現状の外への新しい行動の邪魔にならないように配分を考えたいものです。
現状の外への新しい行動の重要性を述べてきましたが、”現状の外を目指す=突飛な行動・大胆な行動”ではありません。今までの現状ベースの行動ではないことをするから未来が変わるという単純な話なのです。
現状の自分に遠慮はいらないのです。
8.【動画解説】ゴール設定した後の行動で重要なポイント
まとめ
『ゴール設定と目標設定の違い|結果を出す行動と残念な行動とは?』
- 目標設定は結果、ゴール設定は変化を重要視する
- 現状の外側のゴールなのに今までと同じ行動だけでは足りない
- ぶっ飛んだゴールを設定したら、それに見合ったぶっ飛んだ行動をする必要がある
- 真面目な人ほど”自分の技の精度や完成度、など自分だけ”にロックオンしてしまう傾向がある(ゴールの本質を見失う)
- コーチングの基本はゴール側から現状を観ること
- 現状の自分ベースで取り組むべきことを判断しているのでなかなか自分にOKが出せない
- サッカーの試合でパスをもらうために立ち止まる人はいない
- どうしても失敗ができないとき、するべきではないときは、実力不足を補うための行動をする(ワンクション挟む)
- 現状の外へ繋がる新しい行動をするために他者を巻き込むことはとても有効
現状の外側のゴール設定がせっかく出来たにもかかわらず、行動は今までの癖で現状の中、現状の延長線上でしかない人が多いように感じたので今回のような記事を書きました。
あなたのゴール設定に活用いただけたら幸いです。
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