私はギターが好きで、ほぼ毎日弾いています。
14歳から始めたので、そろそろ20年になろうとしています。(自称 永遠のギターキッズ!)
私が10代の頃は今のようにインターネットが当たり前の時代ではなく、弾き方、音の作り方など、とても苦労した良い思い出がたくさんあります。
一方、最近ではググればどんな知識でも手に入る時代です。
ギターの弾き方でも、YouTubeで検索すればプロやプロ並みのインストラクターが親切丁寧に解説してくれている動画がいくらでも見つかります。(もちろん無料ですね)
ですから私が10代の頃に疑問に思っていたことは、YouTubeだけでほとんど解決してしまいます。
しかし、まだよく分からない、解決しない疑問がいくつかあります。
その一つが黒人のリズム感です。
この記事では私が出会った素晴らしい2冊の本と黒人のリズム感について書きたいと思います。
黒人はリズム感が良い?
音楽活動を中心に生活していた、20代半ばに読んだ衝撃的な本があります。
それは『黒人リズム感の秘密』という本です。
著者の七類誠一郎氏は渡米後、マイケルジャクソン、マドンナの振付師として世界的な活躍をされたダンサーです。
七類 誠一郎(しちるい せいいちろう)
芸名トニーティー。
1957年広島県出身。大学院終了後、85年渡米。
マイケルジャクソン、マドンナの振付師ビンセントパターソンのア
シスタントを経てオリジナルファンクスタイルを確立。
89年、「フランス革命200年祭」にアメリカ代表として出演・振付。
数多くのビデオ・TV・映画・ステージに振付・出演を重ね、91年
ロサンゼルスに「Tony Tee Dance Studio」開設。
92年、モダンダンス界の巨匠トワイラサープのカンパニーメンバ
ーにFUNKを教授。名実共にアメリカのトップダンスアーティス
トの地位を確立。
広島大学教育学部卒、東京学芸大学大学院・運動生理学修士、国際
パルスリズム協会会長、米国プロダンサー協会会員。
この『黒人リズム感の秘密』は本当に素晴らしい本で、ダンサーはもちろん、ミュージシャン、スポーツ選手も必読の本だと思っています。(本気で取り組んでいる人はきっと何かを得られるはず)
出版社からのコメント
本書は、1999年発刊後好評を博し7刷まで判を重ねてきた「黒人リズム感の秘密」を、昨年の帰国を機に内容を増強し改訂版としてリニューアル出版したものです。
著書の七類誠一郎氏は、ご存知の通りトニーティーの名前で日本のダンスシーンをリードし、渡米後、オリジナルファンクスタイルを確立し、アメリカのトップダンサーとして活躍しました。
なぜ黒人スポーツ選手の動きはリズミカルなのか?なぜ日本人はリズム感が悪いのか?
どうすれば黒人リズムを体得できるのか?これらの疑問に対し、著者は次のように答えています。
インターロックが他の体幹運動と最も異なる点は、「連動させる」ということ。
さらに連動して動かすことによって、動きにくい体幹の筋群を脈打たせること。常に全体のバランスを取りながら無意識のうちにスムーズな体重移動を行い、無理のない、そして効率の良い運動を発現できる能力を高めること、これが体幹革命ではないかと考えている。
長い期間やればやっただけ、それまで見えてこなかった音の世界、動きの世界が見えてくるようになる。
これは身体が進化している証拠なのだ。
この神経と運動という供応能力が高まっていくというのが、またこのインターロックの特徴といっても良い。(本文より)
ダンスに関するあらゆる疑問を分かりやすく解説し、インターロックの魅力と奥深さをあますところなく紐解いたダンサー必読の書といえます。
黒人の持つリズム感(独特のうねり)と日本人のリズム感の何がどう違うのかということが文化的背景、身体的特徴などを中心に非常にわかりやすく解説されています。
一般的に黒人のリズム感がいいとされている理由は、
- アフリカがルーツの打楽器や踊りの文化
- 身体的(筋肉質)に恵まれていてリズムを表現しやすい
- ダンスミュージックの中で育つ(家の中、通り、教会などほとんどの場所)
- 自然に裏拍を感じて身体を動かす生活
まだまだありますが、だいたいこのような感じです。
※新品での入手が難しくなっています↓
理論より実践で身につけたい人へ↓
最近知ったもう一つの身体的特徴
そして最近面白いことを知りました。
それは黒人のアレは小さいのではないかという仮説です!
アレって何かわかりますか?
そうです。耳の穴です!笑
おそらくほとんどの人は知らなかったのではないでしょうか?
私も読んだときは驚きました。
体格はもちろん、頭だって大きいはずの黒人が日本人よりも耳の穴が小さいというのです。
『僕らが作ったギターの名器』という本の中で著者の椎野秀總氏は、あくまで「一般的に」だとしながら、
- 民族で音の好みが違う
- ギターの試奏の際、日本人は高音弦を入念にチェックする
- 対して欧米人は全体のバランス、音量の大きさで判断する
- さらにアフリカ系の人は低音の感度が抜群
だとしています。
さらにインナータイプ(耳栓型)イヤホンの開発中に課題の低音について来日する海外ミュージシャンにモニターしてもらい感想を求めた。
その際、耳の穴の大きさに気づいたというのです。
大きさの違う3種類のイヤホンインナーではアフリカ系の彼らの耳に入らなかった(合わなかった)。
日本人の耳をカバーできていた3種類のイヤホン(一番小さなものでも)では彼らには大きすぎたのです。
私はこの部分を読んで、先に書いた”黒人のリズム感”と繋がって衝撃を受けたのです。
※楽器やオーディオが好きな人にもオススメ
その音の、どの帯域を中心に聴いていますか?
『耳の穴の大きさが違うからどうしたというんだ?』
そう思われているかもしれません。
しかし自分の耳で実験してみてほしい。
それなりのスピーカー(ラジカセやステレオ)の前に座ってお気に入りの音楽を聴きます。(ノートPCは低音が出ないためNG)
そして耳たぶの裏から耳の穴を狭くするように少しづつ押します。(両方同時に)
どうですか?
音質が変化しませんか?
狭くすると低音が強調されたサウンドになります。(高音域が削れてこもった音とも言えます)
しかも、ほんの少し狭くなっただけでかなり変化します。
低音はグルーヴ(心地よいノリ)を感じる上でとても重要です。(腰にくるグルーヴ感などと言ったりします)
リズムだけなら中音や高音でも感じることができますが、うねりのあるグルーヴ、体が勝手に動いてしまうようなグルーヴは低音を感じている必要があるのです。(ブラックミュージックの特徴ですね)
つまりアフリカ系の人たちは、同じ音、音楽を聴いても低音を聴きやすい耳のおかげで、私たち日本人が感じにくいグルーヴを抜群の感度で感じていたことになります。
しかも毎日毎日、あらゆる場所で。
もちろん彼らの素晴らしいグルーヴを生み出す一つの要因に過ぎないのは承知しています。
だが、彼らの抜群のグルーヴの秘密の一つを気づけて、数日間ニンマリしていました。笑
まとめ
さて今回の記事では、私の好きな音楽と黒人のリズム感について気づいたこと、感じたことを書いてきました。
今回、一番お伝えしたかったことは”私たちが見ているもの(聞いているもの)はそれぞれ別のもの”だということです。
同じ音楽を聴いても違うものを聴いています。
もちろん、再生機器、楽器、歌手から出てくる音は一つです。
ですが、私たちの好き嫌い、趣味嗜好、さらに身体的特徴によって捉えた音は、まさに十人十色です。
単純に感動するポイントが違うということもそうですが、そもそも脳に入ってくる音質から違うのです。
これは私の中で重要な気づきでした。
感性については当然、十人十色だとわかっているつもりでしたが、まさか身体的特徴でこれだけ顕著な違いがあることは盲点でした。
今回のことで一段階深いところで、”私たちはオリジナルな存在なんだ”ということが腑に落ちた気がします。
✅個人的に全てのミュージシャンにオススメしたいリズムトレーニング↓