ブラック企業とパワハラと”うつ”と自殺から考える自主防衛の方法

こんにちは。

プロフェッショナルコーチの中原宏幸( @coach_nakahara)です!

電通に勤めていた24歳の女性の死が労災認定された報道を受け、多くの人がやりきれない気持ちになったのではないかと思います。

生前に発信されたTwitterを見ると、睡眠時間2時間という超長時間労働や、上司によるパワハラなどの過酷な実態が見て取れます。

 

私もコーチをしていてクライアントさんから聞く話で、中には耳を疑ってしまうようなものもあります。

このようなブラック企業の問題を考える際、長時間労働や人格否定などが取り立てて議論されたり報道されたりしていますが、私はこの問題は”逃げ場を完全に奪ってしまう囲い込み”にあると考えます。

”逃げ場を完全に奪ってしまう囲い込み”とは簡単に言いますと心理的に逃げ場のない状態、状況に追い込むということです。

 

この記事では『ブラック企業とパワハラと”うつ”と自殺から考える自主防衛の方法』を提案していきます。

今回の報道で『なぜ辞めなかったんだ・・・』『なぜ逃げなかったんだ・・・』という声も聞きましたし、そう思われている人もいるかもしれませんが、逃げるという選択肢を奪われていたのです。(正確には見えなくなっていたのです)

逃げるという選択肢を奪われない方法と正しい逃げ方を紹介していきたいと思います。

1.ブラック企業がなくなれば過労死や自殺は無くなるか

ブラック企業をなくせば過労死や自殺は無くなったり、激減させることは可能なのでしょうか・・・

その前にブラック企業の定義はなんなのでしょうか?

元々は暴力団などの反社会的団体との繋がりを持ち、違法行為を繰り返す会社を指していたが、近年では労働基準法や関連法令を無視し、あるいは法の網や不備を悪用して従業員に長時間労働やサービス残業などを強制する企業を主に指す。

wikipediaより。

とあります。

 

ここでは、『労働基準法や関連法令を無視し、あるいは法の網や不備を悪用して従業員に長時間労働やサービス残業などを強制する企業』として話を進めていきたいと思います。

もしこのようなブラック企業がなくなったとしても(それ自体はいいことですし改善はされるでしょう)、過労死や自殺の根本的な解決にならないと私は考えます。

それは健全に見える企業にもパワハラは存在し、鬱で休職する人や通院する人が後を立たないからです。

 

さらに言えば、国か、どこかの組織がブラック企業を取り締まったり、組織に改善を促したりするのを待ってなどいられないというのが現状でしょう。

実際、私が以前勤めていた職場にもパワハラはありました。

ですが企業自体は世界的な技術を持った優秀な中小企業です。

 

入社当時の私から見ると(おそらく一般的に見ても)企業体質が古く、職人集団といった感じでしたので、一般の会社とは違う常識でも許されるような空気でした。

実際、仕事ができるとそれでOKのような感じでしたし、若手の育成もベテランに任せていて会社が育てるという認識はなかったように感じました。(若手育成のシステム化などは皆無です)

2.ブラック企業からなぜ辞めることも逃げることもできなかったのか

先の電通の報道で、そんな嫌な会社なら『なぜ辞めなかったんだ・・・』、『なぜ逃げなかったんだ・・・』と思われている人もいるかもしれませんが、多くの場合その選択肢を奪われていることがほとんどです。

 

以前の私が勤めていた会社でパワハラで鬱になり辞めていった後輩がいます。

私はその後輩が辞めた後に通院していたことを知ったのですが、同じ部署だったこともありパワハラを見るたびにフォローしていました。(彼を苦しめていたのは一人の上司です)

今考えるとその上司に直訴するべきだったのですが、同じ組織に属していると指導と混在しているため言いにくく手遅れになったことを今でも後悔しています。

 

ではなぜ『こんなバカらしいことはできない!!』と言って辞めなかったかというと、言葉は悪いですが、もっともらしい言葉でこのまま働き続けるように言葉たくみに仕向けられていたということです。

  • 他の人が頑張っているのにお前だけ抜けるのか?
  • みんなこのやり方で一人前になったんだぞ!
  • これがこの会社のやり方なんだよ!
  • せっかく入社しなんじゃないか・・・
  • 親に心配かけることになるぞ!
  • 家族がいるんだろ?

 

このような言葉で辞めるなんてとんでもないことだということを繰り返し刷り込まれている可能性が高いと言えます。(もちろん言葉はそれぞれ違いますが・・・)

加えて慢性的な精神的疲労と睡眠不足で先(将来)のことなど考えられない状態が続きます。

まさに目の前のことだけで精一杯です。

思考すら支配されてるような状態と言えます。

 

このような状態の時にバカげた人格攻撃や弱みを突かれると完全にすんなりと受け入れてしまうでしょう。

私も経験がありますが、初めのうちは『ふざけことを言いやがって・・・』などと思っていても、圧倒的な上下関係の中で繰り返し、そのようなことを言われると関係のないことだと分かっていても『自分に問題があるのだろうか・・・』と受け入れてしまうのです。

3.職場の”独特な連帯感”が選択肢を奪っていく

さらに職場の持つ独特な連帯感がこの関係を強化してしまいます。

転職を経験された人は感じたことがあるかもしれませんが、『よくあんなバカげた状況で働いていたなぁ・・・』と思ったことはありませんか?(私は数回あります)

その職場内にいる限り現状を客観的に見ることは難しいのです。

 

つまり酷い扱いを受けていたとしても俯瞰で見ない限り、本人ですらバカげていると認識することは難しいといえます。(私たちの持つ適応能力が裏目に出ます)

新入社員がいじめや、それに近い扱いを受けていたとしても内部の人は気付きにくいです。(実際は気付いているのですが問題だと認識できないということです

 

周りの人は自分もそういう時があったなど、必ずしもマイナスばかりではないなどと本気で思ってたりします。

確かに追い込まれて自分の限界以上の力が発揮できたという事実はあるかもしれませんが、もっと科学的な方法は他にもあって、その方が安全でより効果的ということが完全に盲点になっています。

4.最強の自主防衛方法はゴール持つこと

では私たちが会社の連帯感の中で盲目にならず、思考を支配されないためにはどうしたらいいのでしょうか?

すべての人、あらゆる状況に今すぐ使えるという方法ではありませんが、ゴールを持つということは非常に有効です。

コーチングでいうゴールとは『自分自身の未来の理想的な姿』です。

 

自分自身はもちろん、環境、見える景色、人間関係など、ご自身と関係性も含めて理想的な状態がゴールでその姿を設定することをゴール設定と言います。

『パワハラで苦しんでいるのに目標設定なんてしてられないのでは?』と思われるかもしれませんが、かなりのメリットがあります。

 

どのようなメリットかと言いますと、ブラック企業やパワハラで通院が必要なほど消耗してしまう、苦しんでしまう原因は心理的に逃げ場のない状態、状況に追い込まれること(そう思わされていること)が原因でした。(すべてという意味ではありません)

ということは、会社の連帯感の外の視点を持てていれば『冗談じゃない!こいつらどうかしてる!!』といって辞めるという選択肢を持ち続けることができます。(かなりの確率で深刻な事態を防ぐ頃ができると考えます)

ゴール(理想的な自分)があると高い視点から客観的に俯瞰で見ることができます。

なぜならゴールは今の自分では達成する方法が見えないくらい大きなものであることという制約があるからです。

 

少なくとも会社の連帯感の外の自分の視点を持てるということです。

ゴールに関して詳しくは『ゴール設定を正しくすることで劇的な変化を体感する方法』をご覧ください。

 

例えば心から尊敬する人、憧れている人がいる人は自分ではどうにもならない問題を抱えてしまった時『〇〇さんだったらこういう時どうするだろうか・・・』と考えるかもしれません。

ゴールがある人とは、この”〇〇さん”というのを”未来の理想の自分”で考えるというイメージでしょうか。

重要なのは今の現状の問題はとりあえず置いておいてゴール側の自分から俯瞰できるということがポイントです。

 

この視点があることで、心理的に追い詰められそうになっても、そのことに気付くことができます。

今までは理不尽な言葉に傷ついていた人でも、『あれっ、なんで私はこんな人にこんなこと言われなくてはいけないんだ??』と気付けます。

そしてゴールから今の現状を見て必要ないことだと分かれば『どうかしてる・・・』と、すぐに辞めることができます。(会社に縛られたり依存しなくなります)

 

なぜならゴール(本気で実現したい夢、目標)がある人は会社員でいることはゴール達成の一つの手段にすぎないことを理解しているからです。

会社にすがりつく必要はないですし、もし上手くいかなければ他の方法を本気で探せばいいと分かっているからです。

心理的に逃げ場のない状態、状況に追い込まれるということは自分では気付けないくらいに判断力が落ちている可能性が高いです。

ひどいケースだと、最悪な可能性ですら会社に行かなくていい理由に上がるようになってしまうのも思考停止による判断力の著しい低下によるものです。

 

もしも会社に行きたくないという情動がひたすら湧き上がってくるようでしたら早急な休職をお勧めします。

5.ブラック企業は使える部分もある

ここではブラック企業をゴール達成に活用する方法をご紹介します。

ゴール設定=目標設定と思われている人も多いのですが実は結構違います。

例えば仕事の目標ですと会社に入ってから決めると思います。

ですが仕事のゴールは会社に入る前に決めます。

 

なぜかといいますとゴールの方が大きいからです。(重要だからです)

例えば『3年後にWebクリエイターとして大成功する』というゴールの場合、在職中に設定しても構いませんが仕事内容がそぐわなければ転職の必要がありますよね?(例え同業種でも)

 

これから会社に入る場合(探している場合)は『3年後にWebクリエイターとして成功する』というゴールのために会社を選ぶことになります。

3年後に独立して成功するというゴールがあるのに福利厚生が充実していて、休日が120日あって・・・などと選んだりはしないと思います。

そのゴールに見合った、必要なことが学べる会社に就職したいと思うはずです。

パワハラが横行しているとか、人格を否定されるような企業は問題外ですが、残業がとてつもない会社であってもゴールによってはマッチングすることもあります。(圧倒的なスピードでゴールに必要なことが学べると分かっていれば)

 

そのような場合はゴールによって残業も歓迎という場合もあるでしょう。

ですがここでも注意しなければいけないのは、主導権はあくまで自分自身であり、ゴールあっての仕事、会社ということです。

まとめ

会社の独特な連帯感の中で盲目にならず、思考を支配されないための方法をご紹介してきました。

ゴールという会社の外の視点を常に持つことで深刻な事態をかなりの確率で防ぐことができるのではないかと思います。

この記事で一番お伝えしたかったのは自分の主導権は渡さないゴールのある人は強いということです。

 

それは『目標があると頑張れるから』ということではありません。(それも事実ではありますが)

やはり俯瞰で見ることができると、必要ないことには見切りをつけることができます。

 

とくに真面目な人、優しい人は仕事であっても、ついつい情に流されてしまうことも多いのではないかと思います。

  • あの人も頑張っているのだし、自分だけやめるわけには・・・
  • 今、自分が辞めると会社に迷惑がかかる・・・
  • ここはチームのために自分のわがままを言うのはやめておこう

 

ですがゴールのある人はゴールに対して誠実ですから、情に流されたり、判断を誤ることがほとんどなくなります。

それは薄情とか自分勝手ということではありません。(情に流されて共倒れになったのでは元も子もないですよね)

会社や会社の人間関係をスッパリ切るカードを常に持っておいて仕事に取り組むということが重要です。(雇用契約は対等ですから)

ゴール設定という自己防衛法、お試し頂けたらと思います。