こんにちは。
プロフェッショナルコーチの中原宏幸( @coach_nakahara)です!
『なかなか初めの一歩が踏み出せません、、、』
『目標も、それを達成しているイメージもあるのに行動できないんです。』
最近、実際に頂いた質問です。
仮にゴール設定を正しくできたとしても、実際に行動を起こすのって本当に難しいです。(しみじみ思います)
かつての私もそうでしたので、気持ちはよくわかります。
これは、私たちの意思が弱いとか、情熱が足りないということではありません。
先に結論を書きますと、”不満を持っている現状ではあるけど、居心地が良くなっている”状態だといえます。
そのため、なんだかんだ不平不満を口にしながらも本気で嫌だとは思っていないということです。
この記事では『なかなか離れられない現状に見切りをつけてゴールへの一歩を踏み出す方法』をお伝えします。
ポイントは2つです。
- 現状に引き留めようとする引力を如何に消し去るか。
- どんな状況でも行動できるセルフイメージを作るか。
ということになります。
1.初めの一歩が踏み出せない原因
冒頭でもお伝えしましたが、初めの一歩が踏み出せない原因は意思の強さや情熱とは関係ありません。(全くの無関係とも言えないのですが)
それよりも重要なのが恒常性維持機能(ホメオスタシス)の存在です。
もし、あなたが大好きなことが見つかったのに一歩が踏み出せない、行動できないと悩んでいるのでしたら原因はホメオスタシスにあります。
1-1.ホメオスタシス
私たちの体には恒常性維持機能(ホメオスタシス)という体温などを一定に保つ働きをする機能が備わっています。
生体として生きながらえるように一定の状態をキープする機能と言えます。
この機能のおかげで、寒い時は毛穴を閉じて体温を逃さぬように、また暑い時は汗をかいて気化熱で体温の上昇を食い止めようとしているわけです。(体温に限らず心拍数なども)
結果、一定のコンディションで活動することができるわけです。
脳が高度に発達している私たちは、身体だけでなく情報的なことにもホメオスタシスが働きます。
よく聞くたとえ話ですが、年収400万円の人が宝くじで1億円当たったとします。
ですが多くの人が数年で自己破産するというデータがあるそうです。
その理由はホメオスタシスです。
一般的な年収の自分が突然大金を手にしてしまった!!
もちろん本人は嬉しいのですが、無意識はそうではありません。
急いで年収400万円の時の懐事情に戻そうとするのです。
意味のないことで浪費を繰り返し、数年後にはすっからかんになってしまいます。
ゼロならまだ良い方で、多額の借金を作ってしまうケースもあるのです。
それほどホメオスタシスの現状に引き戻す力(留めておく力)は強いということです。
私たちの行動できない理由の根底にあるのがホメオスタシスなのです。
私たちの生体にとって大切な機能を果たしているのですが、新しい挑戦に過敏に反応されたら厄介ですよね?
フィジカルに対してもメンタルに対しても、このホメオスタシスが常に現状をキープしようと目を光らせているわけです。
私が最近、経験したことなのですが数年ぶりにボウリングに行った時の話です。
8年ぶりぐらいに行ったのでスコアはボロボロだったのですが、3ゲーム目で一投目から4回連続でストライクでした。
『これは200点狙えるな!』と思った途端、その後スペアも出ることなくゲームを終えました。(私は今まで200点を超えたこたがないのです)
やはりいつも通りのスコアです。
このように、初めは絶好調だったのに後半急に調子を崩し、結局平均点みたいなことってよくありますよね?(もちろん逆のパターンもあります)
これらもホメオスタシスの働きによるものです。
良くも悪くも現状維持が大好きなのです。(超安定志向なのです)
2.現状の引力を弱める方法
ではホメオスタシスが働いている間は打つ手がないのでしょうか?
そんなことはありません。
ですが、ホメオスタシスの引力に正面からぶつかっていっても大変で疲れるだけなので、先ずホメオスタシスの特徴を知ることが重要になってきます。
ホメオスタシスの特徴として、変化に応じて抵抗も大きくなるというものがあります。
例えばダイエットでいきなり厳しい食事制限をして、所謂三日坊主になってしまったことはありませんか?(私は何度も経験があります)
何かのきっかけで、衝動的に始めたダイエットも3日後にはその決意すら無かったかのようにいつもの調子で食事を摂っていたりしますよね?
このような急激な変化に対しては、現状に留まらせようとする引力や抵抗も比例して大きくなるのです。
先ず、とにかく緩やかに変化を起こすということです。
決断したての時というのは気分も高揚していますので、できるだけロケットスタートを切りたい気持ちは分かるのですが、ペース配分を守るべきなのです。
抽象的な表現になってしまいますが、『思いっきり手を伸ばしたり、背伸びをするのではなく、自然体を少しづつ理想的な方向へ変化させる』ということです。
3.ゴールと現状のギャップがモチベーション
さて、いよいよ実践的な解説に入るのですが、その前に確認です。
ここで言う、”一歩を踏み出す”というのは、もちろん現状の外へ踏み出す一歩ということです。
そのためには、当たり前ですが着地点が必要です。
その着地点がゴール設定というわけですね。
人生を変化させるためには現状を飛び出す必要があります。
現状とは今、あなたがいる世界のことです。(場所や組織、人間関係、思考パターンなど全てです)
正確に言いますと、『今あなたがいる世界でとくに新しいことをしないでやってくるであろう未来』も現状だということです。
簡単に言えば、明日を変えたかったら昨日までの自分がやらなかったことを今日やればいいのです。(もちろん望ましいゴールに向かってのアクションです)
ゴール設定については、『ゴール設定を正しくすることで劇的な変化を体感する方法』を参考にしてください。
このゴール設定について、実際に自分の本気でやりたいことについて考えてみたり、書き出してみるというのも現状を揺るがす行動ですから、ぜひやってみてください。
ゴール設定ができましたら、次に行うのが現状とゴールを同時に観るということです。
ここで最も重要なのが、できる限りリラックスして観るということです。
いくら自分の理想の未来が描けたとしても物理的な臨場感(リアリティ)はやはり強いのです。
ですからリラックスして(身体がふわふわする感覚があればベターです)ゴールをイメージすることが重要になってきます。
どうでしょうか?
ゴールは理想的(当たり前ですが)なのに、物理的な現状はありえない光景が広がっていないでしょうか?
4.一歩が踏み出せないあなたのいる場所は?
ここで質問です。
このありえない現状をあなたはどこから見ていますか?
現状からですか?
違います。
あなたは(あなたのマインドは)ゴール側に居て、そこから現状を見ています。
現状にいる物理的なあなたは、本来ありえない場所にいるということです。
その事実に気がつくと居ても立っても居られない心理状態になります。
これを”認知的不協和”と言います。
この認知的不協和が行動へのモチベーションになるのです。
繰り返しになりますが、ゴール側へ行くのではなく、本来居るべきゴール側に戻らなくては、、、となるのです。
踏み出せないというと、よくわからない未知なる世界へといったイメージに聞こえます。
ですが、コーチング的に正しい一歩の踏み出し方は、先ずマインドでゴールを先取りしておいて、それに物理空間を追いつかすといったイメージです。
5.セルフイメージを書き換える
最後にセルフイメージを書き換える方法についてお伝えします。
セルフイメージとは、読んで字の如く”自分に対して認識している自分像”のことです。
セルフイメージがネガティヴなものだと様々なことに対して弊害が出てきます。
今回のテーマでいうと、『自分はなかなか行動できない、、、』というのもセルフイメージです。
ではどうするかというと、セルフトークをコントロールすることで、セルフイメージを最適なものに近付けていきます。
5-1.セルフトークをコントロール
セルフトークとは”心の声”のことです。
例えばあなたがよくやってしまうミスや失敗をした時、自分にどんな言葉をかけていますか?
『言葉なんてかけていなけど、、、』と思われたかもしれませんが、ほぼ間違いなくかけています。
ほとんど無意識だと思いますが、
『うわ〜、またやっちゃった、、、』
『なんでいつも肝心なところでミスしちゃうんだろう、、、』
『気をつけていたのになぁ、、、やっぱり自分はだめだなぁ』
意識には上がらないかもしれませんが、このような心の声が聞こえたことは誰もが経験したことがあるのではないかと思います。
実はセルフトークを自分でコントロールできるようになると、初めの一歩どころか、ゴールに対して一気に加速できます。
それほど私たちにとって大きな影響を及ぼしています。
その理由は無意識が発する心の声だからです。
例えば、ネガティブな親友があなたの夢への挑戦を邪魔してきたとします。
本人は善かれと思って助言しているつもりなのですが、あなたとしては迷惑以外の何物でもありません。(所謂ドリームキラーです)
もしくは子離れできていない心配性の親なども同じですが、彼らに対する対策は簡単です。
会わなければいいのです。(話が早いですよね)
上手いこと言って、距離を置いたり、一人暮らしを始めたり、いくらでも対策できます。
ですが”心の声”はそうはいきません。
無意識に自分自身が自分自身に対して発している言葉ですから。
さらに物理的に空気を振動させている声ではないので、耳を塞いでも聞こえてきます。
私たちは1日に5万から6万回セルフトークをしていると言われています。
このセルフトークが全てポジティブなものに変えることができたら、すごいことになると思いませんか?(実際になりますよ!)
6.セルフイメージを書き換える実践編
まず、セルフトークは無意識に出ているのですが、しっかり自分(の心)を観察することで、意識にあげるように心がけましょう。
意識に上げやすいのは、感情が動いた時です。
嬉しかったこと、恥ずかしかったこと、楽しかったことなど感情が動いた際のセルフトークを望ましいものに修正していきます。(言い直すということです)
実際に声に出さなくてもいいですが、可能でしたら声に出して修正しましょう。
先ほどの、
『うわ〜、またやっちゃった、、、』
『なんでいつも肝心なところでミスしちゃうんだろう、、、』
『気をつけていたのになぁ、、、やっぱり自分はだめだなぁ』
でしたら、
『うわ〜、やっちゃった、、、こんなことは自分らしくないぞ。次はうまくやるぞ。』
『肝心なところでミスしてしまった、ありえないな、原因と対策をすぐ取らなくては。』
『気をつけていたのになぁ、、、私らしくなかった、新しい対策と注意点をまとめておこう!』
のように修正していきます。
ポイントは現状の結果に感情的になることなく、次のチャンスに対して最善を尽くすということです。
ありえないようなミスだったとしても、対策と改善ははかりますが、自分を責めてセルフイメージを下げるようなことは絶対にしてはいけません。
少し時間はかかりますが、このように少しづつ意識に上げて修正していきましょう。
1週間も続ければセルフトークの違いによる感覚と変化が実感できると思います。
どのような事柄にも自分にとって好ましい面と好ましくない面があると思います。
それは当然両方、もしくはどんな面もすでに存在しています。
それを私たちは”自分”というフィルターを通して見ています。
つまり良い面を見るのか良くない面を見るのかを決めるのは私たちということです。
その選択をコントロールしようというのがセルフトークを意識に上げるということです。
失敗やミスを現状の視点だけ見ればネガティブな感情が出てくるのは当たり前です。
そこに”次の成功のためにはどうするのか?”という未来の視点を意識することによってポジティブな側面が見えてくるということです。
本来、現状に限った感情的な評価なんて必要ないですよね?
私たちは生きている限り、形は違うかもしれませんが、次のチャンスは必ずやってくるからです。
まとめ
『なかなか離れられない現状に見切りをつけてゴールへの一歩を踏み出す方法』
- 現状に引き留めようとする引力を如何に消し去るか
- どんな状況でも行動できるセルフイメージを作るか
- ホメオスタシスの現状に引き戻す力(留めておく力)は強い
- 良くも悪くも現状維持が大好き
- ホメオスタシスの抵抗を抑えるにはとにかく緩やかに変化を起こす
- ゴールと現状のギャップがモチベーション
- ゴール側から現状を見る
- セルフトークをコントロールすることで、セルフイメージを最適なものに近付ける
- 失敗やミスを現状の視点だけ見ればネガティブな感情が出てくる
- 未来の視点で『次の成功のためにはどうするのか?』を考える
実践してみてください。