こんにちは。
プロフェッショナルコーチの中原宏幸( @coach_nakahara)です!
あなたは繊細な人ですか?
先日、コーチングセッションで繊細とはどのような人のことかということが話題に上がりました。
繊細な人とは一言でいいますと『感情が細やかな人』といえます。
詳しくは後述しますが、感性、感受性が豊かな人はもちろん素晴らしいのですが、相手や周りの人の感情を敏感に感じ取れるために自己主張ができないなど”自分らしく生きる”上で困難なことがあることも事実です。
今回の記事では『繊細な人が生きづらい日々を乗り越えて自分らしく生きる方法』をコーチング理論をベースに解説していきます。
繊細で豊かな感受性を生かして、夢を叶える生き方の参考になれば幸いです。
1.繊細な人の特徴とは
繊細な人とはどのような人でしょうか?
繊細
繊細(せんさい)とはものの形が細くて小さくかつ優美である様子、転じて感情などが細やかな様子を表す。ブレーズ・パスカルは自著『パンセ』において物心二元論を唱えるデカルトを批判する際に人間には二つの精神があるとし、哲学において真に重要な精神は二つの内、日常生活の様々な事柄を微妙な心情の動きに基づいて情感的かつ繊細に感じ取り自らを高めていく繊細の精神であり、残るもう一方であるデカルト達の思想は一切の事柄を定義し理論立てていく幾何学的精神は哲学の思考においても日常生活においても役に立たないと主張した。
wikipediaより。
繊細な人とは『感情が細やかで、心情の動きを感情的に感じ取れる人』ということで進めていきます。
2.繊細すぎて生きづらい理由
『繊細な人は生きづらい・・・』
このようなことを聞くと多くの人が納得されるのではないかと思います。
ではなぜ繊細な人は生きづらいのでしょうか?
一言でいいますと『一般的な人が受け取れないような細かな情報(情動)を受け取ってしまうから』です。(ネガティブなもの、ポジティブなものもです)
周りの人の感情の変化に対して無意識レベルで非常に感度が高いといえます。
2-1.HSP:Highly Sensitive Person(高度に感受性の強い人・敏感な人・繊細な人)
「 Highly Sensitive Person(HSP)」という言葉は、1996年にエレイン・N・アーロン博士が考案したものです。
ハイリー・センシティブ・パーソン(英語: Highly sensitive person, HSP)とは、生得的な特性として、高度な感覚処理感受性(あるいは、カール・ユングの造語で言えば生得的感受性)を持つ人のこと。
共通して見られる特徴として、大きな音、眩しい光・蛍光灯、強い匂いのような刺激に対して敏感であることが挙げられる。
HSPはしばしば、豊かで複雑な内的生活を送っているという自覚をもっている。
物事に対して容易に驚き、短い時間にたくさんのことを成し遂げるよう要求されると混乱するという性質を持つ。
エレイン・N・アーロンや他の研究者によると、HSPは人口の約五分の一を占めるという(男女によって偏りは見られない)。
HSPは感覚データを通常よりはるかに深く、かつ徹底的に処理しているが、それは神経システムにおける生物学的な差異によるものだという 。
この特異な性質が発見されたことは、ある種の人々を見る目が大きく変わるという決定的な帰結をもたらす。つまり、生得的なシャイさ、社交不安障害、社会的抑制、社会恐怖症、生得的恐怖症、あるいは内向性などとHSPはしばしば混同されてきたが、それらとは一線を画する性質だということである。
この性質は、HSP測定法という内的・外的に妥当性があることが確認されている方法よって測られる。
HSPは主に人間を記述するために用いられるが、同様の性質は100種以上の生物にも見られるという。
つまり、人より物事を繊細に敏感に捉えることが出来る人”感度の高い人”といえます。
自分や他者の情動に対して感度が高いため、なんでもないような日常の出来事でお腹いっぱいになったり、情報量が多すぎて疲れてしまうイメージです。
また、
- 卑屈
- 恥ずかしがり
- 神経質
- 弱虫
- 引っ込み思案
など一般的にネガティブな側面を持つ気質といえるかも知れません。(もちろん強みでもあります)
それを肯定的で価値のあるものだと捉えた言葉がHSPといえます。
2-2.HSP:ハイリー・センシティブ・パーソンの測定方法
ハイリー・センシティブ・パーソンには自己測定の方法があります。
次のいくつかの質問に感じるままに答えてください。
- 自分をとりまく環境の微妙な変化によく気づくほうだ
- 他人の気分に左右されることがよくある
- 痛みに対してとても敏感である
- 忙しい日々が続くと、ベッドや暗い部屋など、刺激から逃れられる場所にひきこもりたくなる
- カフェインに敏感に反応する
- 明るい光や強い匂い、ざらざらした布地(触覚)、サイレンの音などに圧倒されやすい
- 豊かな想像力を持ち、空想にふけりやすい
- 騒音によく悩まされる傾向がある
- 美術や音楽に深く心動かされる
- とても良心的である(といわれる)
- すぐにびっくりしてしまう(仰天する)
- 短期間にたくさんのことをしなければならない時、混乱してしまう(フリーズ)
- 人が何かで不快な思いをしているとき、どうすれば快適になるかすぐに気づく (たとえば電灯の明るさを調節したり、席を替えるなど)
- 一度にたくさんのことを頼まれるがイヤだ
- ミスをしたり、物を忘れたりしないようにいつも気をつける
- 暴力的な映画やテレビ番組は見ないようにしている(見ることができない)
- あまりにもたくさんのことが自分のまわりで起こっていると、不快になり、神経が高ぶ
- 空腹になると、集中できないなど、気分が悪くなるといった強い反応が起こる
- 生活に変化があるとよく混乱する
- デリケートな香りや味、音、音楽などを好む
- 動揺するような状況を避けることを、普段の生活で最優先している
- 仕事をする時、競争させられたり、観察されていると、緊張し、いつもの実力を発揮できなくなる
- 子供のころ、親や教師は自分のことを「敏感だ」 とか 「内気だ」 と思っていた (主観で)
この質問の中で12個以上Yesだった人はHSPの可能性が高いそうです。
ちなみに私はカフェイン以外は全てYesでした。w
ですが、あくまでHSPは特性であり重要なのはHSPであるかどうかよりも”感情に対する感度”は調整が可能ということです。
3.繊細な人が自己実現しづらい理由
私は自己判断でHSPのような気はしていますが、感度は調整できている自信があります。(できるようになったということです)
コーチは過去にとらわれず自由に未来をクリエイトする存在なので過去の話は基本的にしないのですが、あえていいますと私は10代の頃の自分が好きではありませんでした。
自分もですが学校という環境も苦手でした。
それはまさにHSPによるものではないかという気がしています。
集団の中にいるだけで、周りの人の思惑(良いことも悪いことも)を感じ取ってしまい、それだけで疲れてしまうのです。
ですからダイレクトに感じるのではなく作品からその人の感性や世界観が感じられるアート(主に音楽と楽器)に強く惹かれて行ったのではないかと思っています。
ですが当時はそのような知識もなかったので『自分は人間嫌いなんだ。』と本気で思っていました。
実際は人間嫌いではなく受け取る情報量が多すぎたためにしんどくなっていただけでした。
さて、ここで繊細な人が自己実現しづらい理由を考えてみます。
自己実現とは”なりたい自分になる”ということです。
つまり夢を叶える・理想の未来を手に入れるということですよね?
コーチング的にいえばゴールの達成です。
ゴール達成のためには他者の協力が不可欠ですし、人間関係の摩擦も当然起こります。
また、何かを極めたり競い合ったりするということは嫌でも感情が激しく動いたり、時にはぶつかったりします。
その時に必要以上に周りの人や自分の情動に敏感になっていたのではそこにエネルギーを取られてしまいます。
4.繊細な人がロックオンすべきもの
相手や自分の情動に敏感な人は意識して感度を上げているわけではありません。
ですが感度を下げることが不可能かといえばそんなことはありません。
そのためにはロックオンというものを使います。
”どこを観るのか?”ということですね。
といっても特別なものではなく、普段私たちが無意識に行っている盲点を作るということです。
ロックオンとは写真のフォーカスのようなものです。
この写真でロックオン(フォーカス)されているのが白い花ですよね?
それ以外はぼやけていますよね?
ぼやけているのが盲点(スコトーマ)です。
例えば相手の感情が気になっている状態は相手の感情にロックオンしているということです。
そこで自分のやりたいことができない時には相手の感情を盲点に隠してやります。
別の言い方をすると、別のものにロックオンするということです。
その別のものとは”自分らしく生きている理想的な自分”です。
コーチングではゴール側の自分といいます。
ゴールには人生をかけて追いかける大きなものから年・月単位のものまで設定していくのがベターです。
仕事や趣味、人生設計全てに万遍なんく作ることがコツです。(全て均等に追いかけるという意味ではありません)
ゴールに関しては『ゴール設定の方法〜劇的な変化を体感するコーチングの基本〜』で詳しく解説しています。
もしかすると『自分の目標(夢)のために相手の感情をないがしろにするのか・・・』と思われたかもしれませんが、そうではありません。
自分がゴールを叶えることで、相手もしくは社会に与える機能、付加価値にロックオンするということです。
例えば勝負事が苦手な人でも、ゴール達成のために必要な登竜門のようなコンテストがある場合、当然勝つ必要があります。
そこでは相手を含めた周りの人の情動に敏感になっていたのでは勝負になりません。
かといって、周りの人(もしくは自分)の情動を感じ取ってしまう人は純粋に勝つことを優先して考えることが難しいのです。(私も罪悪感を感じたりして苦労しました)
ここでゴールにロックオンするのですが、勝つことではなく理想的な未来の自分(ゴール側の自分)にロックオンするのです。
もっと詳しく言いますと、自分が手に入れるものではなく未来の自分が提供できているもの、その喜びにロックオンします。(現状で感じる感情はひとまず置いておくのです)
大きくて貢献度の高いゴールにロックオンしたために現状での情動の優先度を下げたということです。
自分の手にしたいものが情動的なもの、例えば嬉しい、楽しい、気持ちいい、などであれば他者との情動でどちらを優先するのかという天秤にかけることになります。
ここで何のためらいもなく自分の情動を優先できる人は繊細ではないでしょうし、そもそも迷ったり悩んだりしていない人です。
しかし感度が高く周りの人の情動を拾ってしまう人は使命感や生き方、在り方のような志の高いゴールを設定することで情動にとらわれない、自分にも周りの人にもプラスな判断ができるようになります。
5.情動よりも大切なもの
例えば繊細で感受性豊かなあなたが周りの人の情動を感度よく受け取りすぎて消耗していたとします。
ですがそれはあくまで”優れた特性”でありますが、情動は感じても感じなくてもいいということです。
正確にいいますと感じてはいるのですが、意識に上げる必要はないということです。
それよりも重要なものにしっかりロックオンしていくということが大切です。(先の志です)
それはゴールです。
自分だけでなく、相手や周りの人のゴールも含みます。
自分の感情は少し置いておいてゴールから見て、今何をすべきか考える癖をつけるということです。
周りの人に対しても同じです。
その人が今喜ぶことも大事ですが、何を必要としているのかということを観ることが重要です。
相手のゴール、つまり相手が本当に求めているものを知ろうとすることで相手の情動に左右されない、本当に相手に必要な助言やアドバイスが可能になります。
その都度、相手の感情に流されていたのでは『今、その人に必要なこと』が見極められませんよね。
相手の情動を揺さぶるような、もしくは関係が壊れるかもしれない時に、言いにくいけど相手のためになる助言をすることができるでしょうか?
もちろん実際に口に出すかはケースバイケースですが、情動にロックオンしている時には見えないものを見ることができる関係が未来に向かった建設的な関係といえます。
繊細な人が今の自分を変えるための動画解説
まとめ
『繊細な人が生きづらい日々を乗り越えて自分らしく生きる方法』
感受性が高く自分や相手の感情に高感度な人は、相手や周りに同調しやすく、疲れやすい、他の人が何でもないことに感情を揺さぶられる、多くの人が関心を持つことや感動することは情報量が多すぎて持て余してしまうなどの特性を持っています。
少し大変な場面もありますが、アートやクリエイティブな仕事、人に寄り添う仕事など、この特性を強みにしている人もたくさんいます。(趣味も含め)
ご自身の強み(特性)をどの分野で発揮させるのかを見極めることが重要になってきます。
この特性のデメリット(に思えること)を解決するには自分の感情、他者から感じてしまう感情をひとまず置いておくことが重要です。
そして志の高いゴールを設定することです。(これがもっとも重要です)
情動よりも上の概念である志、使命感、生き方など相手もしくは社会に与える機能、付加価値にロックオンするということです。
情動をひとまず置いておいて、自分、他者のゴールへの貢献欲求へシフトチェンジして行っていただけたらと思います。
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