こんにちは。
プロフェッショナルコーチの中原宏幸( @coach_nakahara)です!
先日、『私はすぐ誰かに頼ってしまう依存体質なのですが、そんな自分をどのように変えて行ったらいいのでしょうか?』という質問をいただきました。
ある対象(人やモノ)に依存してしまう、囚われてしまうというのは辛いですし、そのせいで人生レベルで大きな損失が出てしまうというケースも多々あります。
しかし心配は要りません。マインド(脳と心)の使い方を正しく学べば依存や囚われの状態から抜け出すことが可能です。
この記事ではマインド(脳と心)の使い方の専門家であるプロコーチの視点で『すぐ誰かに依存してしまう自分を変えたい人が学ぶべき解決策』について解説していきます。
1.依存とはどういう状態か
そもそも依存、依存状態とはどのような事を指すのでしょうか?
依存とは他のものによりかかり、それによって成り立つこと
もう少し具体的にいえば
- 〇〇に頼りきる
- 〇〇が無いと成り立たない(状態)
といったとこでしょう。
今回のテーマである『誰かに依存してしまう・・・』というのは、
- あの人がいないと生きていけない
- 〇〇さんがいなくなったら成立しない
- あの人がいないと私は何も出来ないから・・・
- 〇〇さんがいるからこのチームが成り立っている
という状態ですね。
全てが良くない状態だとは思いませんが違和感を感じたり、進行するとヤバそうな雰囲気はありますよね。
詳しくは後述していますが、これらを本気でそう思ってしまうと危ないということです。どんなに大切な人であっても”〇〇さんがいない人生”、”〇〇さんがいないチーム”という未来はやってくるかもしれないということ。
そしてそれを頑なに目をそらして見ないようにするというのは、今より素晴らしい可能性が十分ある未来を自ら拒否しているということになりますよね。
それってまさに今の自分、現状に囚われているということです。
2.自分が無いと依存する?
私が過去に関わったクライアントさんの中にも依存気味の人、自称依存体質の人がいらっしゃいました。
その人たちに共通しているのが、『ゴール(目的地)が無い』ということです。
ここで言うゴールとは、
- 自分はこうなりたい
- 〇〇を達成したい
- 自分は〇〇なタイプだ
- 私は〇〇が好きで△△が嫌いだ
といった『自分とは・・・』という”あり方”です。
つまり”自分が無い”のです。
ゴールというと夢や理想の未来という意味合いで使われます。そしてそのゴールを達成する自分はどんな人であるべきか?という”未来の自分のあり方”も重要なゴールといえるのです。
”自分が無い”状態はゴール、すなわち理想的な未来が無い(想定していない)のはもちろん、今の自分はこう在りたいという現状の自分の”あり方”すら無くしている状態といえます。
2-1.依存する人は”自分のあり方”を他者に預けてる
では無くした『自分は〇〇だ』という”あり方”はどこにいったのでしょうか?
正確には無くしたのではなく『ゴールを他者に一時的に預けている状態』ということです。
ここに至った原因はいくつも考えられますが、
- 自分を出してはいけない(嫌われるから)
- 周りや〇〇さんに合わせなきゃ
- あの人の理想に近付きたい
という間違った思い込み(プログラム)によって本来、自分で決定して、持っておくべきものを手放してしまったといえます。
3.自分のあり方と未来を思い描く能力
前述した通り”自分は〇〇で在りたい”というあり方、自分らしさを手放して、他者に預けてしまった。その結果、自分を無くし、誰か(依存対象)の基準で生きる状態にあるのが依存だということでした。
これはすなわち自分基準の
- 『〇〇になりたい』
- 『〇〇でありたい』
が存在していないということ。
厳しい言い方をすれば『自分の人生を生きていない』ということです。どんなに努力をしても自分基準でなければ仮にその努力が報われて結果が出ても心から喜ぶことはできません。
ですが心配は要りません。知らぬ間に手放した自分基準だとしても、そのことに気が付いた時点で取り戻すことが可能です。
4.他者基準の人生はダメなのか
ここまで読まれて『確かに自分のことかも・・・』と思われた人は大きく現状が揺らいでいると思います。(ヤバいという不安感、ソワソワ感です)
ここで予想される反論を少し書いておきます。
それは『あの人が喜んでくれればいい』『あの人がこう言っているから、そして私がそう望んでいるから』というものです。
もちろん人生、生き方は自分で自己責任のもとに決定するべきです。ですからそのように思う人はそれでいいと思います。ただ、心からそう思っている人はこの記事を読んでいないと思いますが・・・
4-1.自分の非常事態に一番気付けないのは自分自身
私たちは現状の自分の基準、視点でしか物事を認識することができません。例えば『自分の生まれ育った家庭ってかなり変わってたな・・・』と気付くのは家を出た後です。その環境を離れてみて、初めて客観的に観ることが出来るからです。
つまり他者基準の人生がデフォルトになってしまうと、不満や苦痛があっても、それが当たり前でさらには居心地が良くなってしまうのです。
そんな現状で考えている、思考・結論は当然ですが現状の自分に都合のいいものである可能性が高いということ。これは私たちに備わった恒常性維持機能(ホメオスタシス)によるものです。
恒常性維持機能は文字通り、現状を維持するように働きます。
恒常性維持機能は『これをやると大きく現状が変わる、好転する』ことに対して無意識にやらない理由をクリエイティブに考え出します。ポイントは酷い状況から好転するチャンスであっても頑なに現状維持しようとするということです。(つまり不幸を選択するということです)
どのような生き方を選択するのもその人の自由なのですが、私としては一度、今の自分の状態を離れてみることをお勧めします。
そして以降で、その方法をお伝えします
5.依存してしまう今の自分を変える方法
ここからは自分のあり方や自分基準を手放した状態を元の自分基準に戻す方法をお伝えします。言葉では戻すと言っていますが過去へアプローチする訳ではありません。
また今の自分を変えるというと今の自分に直接介入するイメージかもしれませんが、それも違います。
今の自分を変えるためには未来に対して働きかけます。
5-1.科学的に自分を変えるために必要な時間の考え方
ここで時間の流れについてお伝えしたいと思います。正しい方法を正しく使って自分を変えていくためにとても重要ですのでお付き合い下さい。
私たちが一般的に共有している時間感覚は『時間は過去から未来に時が流れる』というものではないでしょうか?別の言い方をすれば『過去があって今がある、今があるから未来がある』という認識だと思います。
例えば、あなたの今晩の夕食がカレーライスだとしましょう。そのカレーを作ったのはお母さんです。(設定として難しければ学生時代として考えて下さい)
おそらく昨日買い物に行ってカレーの材料を購入し、お昼くらいから作り始め、コトコト煮込んでいます。
これを『時間は過去から未来に時が流れる』という世界観で見ると全くその通りだと思いませんか?
昨日スーパーに買い物に行かなければ材料がないので作れないですし、お昼から作り始めないと夕食に出すことができません。まさに『過去があって今がある、今があるから未来がある』ように思えます。
買い物に行ったから料理ができた。料理したから食べることができる。ということですよね。
ですが、実はこの解釈、世界観は正しくありません。
なぜなら物理的な部分(目で見える部分)しか見えていないからです。
ではどこを見るのかというと情報的な部分、つまり頭の中での思考も一緒に考えていくと全く違う時間の流れが見えてきます。
正しい時間の流れはというと『時間は未来から現在、そして過去に向かって流れ去っていく』というイメージです。
そしてこの時間感覚、世界観は私たちの脳の中、思考(未来の推論)という情報処理も同時に見ないと見えてこないのです。
先の例の戻ると『明日はカレーにしよう』と買い物中に思いつきます。これは昨日という過去にいながら一日先の未来のことを考えています。これも立派なゴール設定といえますよね。献立でも明日の予定でもそうですが、”未来の設計図(ゴールのイメージ)が脳の中に完成した”といえるわけです。
そして次の日、その設計図をもとにして夕食のカレーを予定した日時に完成させるべく準備に取り掛かります。これも”予定した日時に提供する”という未来があるから昼過ぎから行動を始めるということです。
ですから、未来があって今、何をするべきかが決まるということです。何気なくやっていることでも無意識レベルで『あっ、明日〇〇をしよう』というゴールが設定されているのです。
ちなみにこの無意識レベルのゴール設定が繰り返されている状態を現状維持といいます。逆にいえば現状維持、すなわち今の自分を変えたいと思ったら無意識でやっているゴール設定を意識に上げ、思い通りに変更すればいいのです。
未来をイメージすることは明日や来週の予定を決める、変更することはもちろん、今の自分のあり方を変えるのにも有効です。
今日の予定を変えようと思ったら未来から調整していくのが効率的です。同様に今の自分を変えたいと思ったら『どんな自分になって何をしたいのか?そのためには今何をすべきなのか?どんな人であるべきか?』と考えるべきです。
まさに未来を調整するから今の自分のすべき事、今の自分のあり方、振る舞いが変わるという事ですね。
6.関係性のゴールでどんな人とも幸せな未来を共有できる
私は認知科学をベースにしたコーチングを使ってさまざまなクライアントさんの自己実現のサポートをしています。そこで常々感じるのが『結局ゴールがすべて』だということです。
実際のセッションや指導の場面でもさまざまなテクニックを使うのですがゴールがないと話にならないし、ゴールさえあれば何とかなります。そのくらい重要なものです。
それは当然でゴールとは私たちが望む理想的な未来そのものだからです。
”ゴール=あなたの望む理想的な未来”なのですが、もう少し具体的に見ていくと、
- 仕事
- 健康
- 家族
- 趣味
- 社会貢献
- 生涯学習
などに分けることができます。(コーチングではバランスホイールといいます)
そして、これらのほぼすべてに関係しているのが人間関係です。
6-1.幸せと未来と人間関係
ゴール設定というと目標や目的を果たすために自分一人で設定するというイメージがあると思います。それはその通りなのですが、『どんな人と関わりたいのか?』という視点は極めて重要です。
所謂、関係性のゴールですね。どんな人と未来を共有したいのか?ということです。
今回のテーである”依存してしまう人”に多いのが相手の未来を共有した途端、自分のゴールを手放してしまうという特徴です。別の言葉でいえば、相手に染まりやすいともいえますよね。
相手に染まりやすい、思いっきり影響されてしまうというのは悪いことではありません。むしろ自分をダイナミックに変えていくためにはポジティブな刺激を積極的に受け取るべきです。
ですが、最終的な未来を選択する決定権は決して手放してはいけません。
そのためには関係性のゴールはもちろん、そのほかのゴールも定期的に意識に上げて、自分の未来に責任を持つことが重要になってきます。
傾向として多いのが『この人と一緒にいられたら他には何も…』的に舞い上がってしまう人は注意が必要です。一つのゴール(夢)が叶うと他には何も要らないと思うほど喜ぶことは良いことです。
ですが輝いていたはずのかつての夢も、それが当たり前になれば喜びや新鮮味は急速に色あせていきます。この時点で、その人との更なる未来、その他の自分のゴールを手放している状態ですので依存が加速しやすいです。
依存の目安、バロメーターとしてはプライベート以外の趣味や仕事のゴールに支障をきたすようになると(興味がなくなると)ゴール、つまり自分の未来に早急に向き合う必要がありますね。
6-2.ストレスフリーな人間関係を築く視点
人間関係が苦手な人、疲れた人の話を聞くと、
- 相手に合わせると疲れる
- 自分を出し過ぎないように注意している
- どこまで本音を言っていいのか分からない
- 嫌われるのが怖い
というように自分視点、他者視点で見た自分を重要視し過ぎているように感じます。
また相手への気遣いでの悩みも多いですね。
ここに関しても関係性のゴールを設定することでストレスフリーになります。
流れとしては、
- 相手に合わせるのではなく
- 相手とどんな未来に対して関係を構築したいのか?
- そのためにはどんな自分であるべきなのか?
ということですね。
そして意識して欲しいのが、『〇〇をしてあげたい』『あの人に喜んで欲しい』ではなく、そこでのあなたはどんな人なのか?です。
あり方を先に決めて、それに相応しい行い、振る舞いをするということです。これの良いところは自分らしいあり方が意識に上っているので感情レベルでしていることも後から再考して『都合のいい人になっているかも?』と気がつけるところです。
さまざまなゴール(夢・やりたいこと)を持ち、自立出来ていると自分が依存気味になると気が付くものです。
また現状ですでに依存していると自覚がある場合でも関係性のゴールはもちろん、さまざまなゴールに目を向け(なければ設定して)、今を楽しむ自分を体現することで現状(依存状態)を変えることができます。
6-3.自分を大切にするから相手も大切にできる
相手が喜んでくれると嬉しいものですが、自分を犠牲にする必要はありません。大切にしたい人であれば長期的にお互いハッピーな関係性を築けるように全力で取り組んだらいいのです。
そのためにはお互いのゴールへのリスペクトが欠かせません。繰り返しますが、自分のゴールをしっかり設定、意識することです。
所謂おしどり夫婦がなぜ上手く行っているかというと、『自立してお互いのゴールをリスペクトしながら、関係性のゴールを更新し続けているから』です。とくに更新するのが上手なのです。
【参考記事】
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7.【動画解説】依存してしまう自分を変えたい人が学ぶべき解決策
まとめ
〜すぐ誰かに依存してしまう自分を変えたい人が学ぶべき解決策〜
- 依存気味の人、自称依存体質の人は自分が無い状態になりがち
- 依存とは『自分は〇〇だ』という”あり方”を他者に預けている状態
- 自分基準の『〇〇でありたい』を手放すと自分の人生を生きていない
- 今の自分を変えるためには未来に対して働きかける
- 未来を調整するから今の自分のすべき事、あり方、振る舞いが変わる
- 相手に染まりやすいのは悪いことではない
- 最終的な未来を選択する決定権は手放してはいけない
- 『〇〇をしてあげたい』『あの人に喜んで欲しい』だけだと感情のみで動いてしまう
- あり方を先に決めて、それに相応しい行い、振る舞いをするとブレない
お役に立てると幸いです。
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