毎月東京、大阪で行なっている体験コーチングに来られる人からよく頂く質問に『ゴール設定に期限は必要ですか?』というものがあります。
もちろんそこでは詳細にレクチャーするのですが、ブログの記事にはしていませんでした。
なぜならゴールによって、またその人によって期限があったほうがいい場合と無いほうがいい場合があるからです。
結論をいえばゴール設定において期限は重要です。(人生時間も一つの期限です)
『いつまでに達成したいのか?』『いつまでにそうなっていたいのか?』と自分に問いかけること、意識して考えることが重要なのです。
もちろんhave to(〜しなければならない)にならないようなデザインが必要ですね。
もしゴール設定をしたのに現状が変わらない、やる気が起きないと感じている場合は期限について考えてみてほしいと思います。
この記事では私自身の過去のゴール、また許可をいただいたクライアントさんのゴールを検証しながら期限の必要性と設定方法について詳しく検証しながらお伝えしていきます。
1.ゴール設定の期限は必要ない?
コーチングを実践する人にとってゴール設定で期限を設けるのか否かというのは重要な関心ごとだと思います。
ちなみにここでのコーチングとは現状の外側にゴールを設定するコーチングを想定しています。(・タイス式ですね)
実際、苫米地博士の書籍の中ではゴールに期限は必要ないと書かれているものが多数あります。
一方でTPIE(ルータイス氏と苫米地博士の共作の能力開発プログラム)の教材には期限が必要とあります。
そもそもゴール設定において期限を設けないほうがいい理由はhave to(〜しなければならない)になってしまうリスクがあるからです。
現状の内側のいわゆる目標ならhave toで努力と根性で達成できるものもあります。
しかし現状の外側だと根性ではどうにもなりません。
では何が必要かといえば、『自信はないんだけど楽しくてやってしまうんですよね・・・』という状態が必要です。
いわゆるハマっている、気になってしょうがない、やめられない状態です。
私はゴールに恋している状態と説明しています。
詳しくは後述していますが私が会社員をしていたことプロコーチとして独立起業して機能を果たすというゴールがありました。
今では達成され現状になっているわけですが、当時は会社で仕事をこなしながらそのゴールのことばかり考えていました。
まさに、『気になって仕方がない人のことが頭から離れない』のと全く同じ状態でした。
この状態、意識状態が必要なのに『〇〇をしなければならない』と考えてしまっては話になりません。
ですからゴールを考える上でhave toになっていないか?という注意はいつも必要なのです。
一方で期限がない為に先延ばしにしてしまったり、現状を変える重要性が上がらないなどのリスクもあるわけです。
結論を言えば『現状がガンガン変わっていっている』『アクティブに行動できている』状態に持って行きたいのです。
その為に期限が必要だと思えば設定すればいいわけです。(のちに実例で解説しています)
ポイントは自分が主導権を持って期限を設定するということです。
2.ゴールの期限は仮でいいし、向き合う中で見えてくる
実際ゴールは様々な分野に設定する必要があります。(バランスホイールですね)
そしてゴールにも様々なスケールがあり、抽象度があります。
例えば家族関係のゴールで独身で恋愛経験のない人が『2年後に最高にハッピーな結婚生活をスタートさせる』というゴールを設定したとしましょう。
とても良いゴールですし、期限が必要なゴールといえます。
なぜならいつスタートさせるのかを意識して自分で設定することで臨場感が湧くからです。
2年後に結婚しているのなら、
- 半年以内に交際をスタートしていないとおかしいよね
- その為には何が必要でどんな自分であるべきだろう?
- そもそも自分がどんな結婚生活を望んでいるのか真剣に考えていなかったな
- 自分の年齢から考えて2年後でいいのだろうか?
と今の自分と2年後の自分の両方の視点で考えることができます。
ゴール側の自分の視点で観る、ゴールに向き合うからこそ今やるべきこと、やりたいことが見えてきます。
これが『結婚生活をスタートさせる』だけだとどうでしょうか?
あまりにぼんやりし過ぎています。(幸せな結婚生活なんて無数にあります)
アファメーションやビジュアライゼーションをしてそれなりに臨場感を高めることは出来ますが、イメージ空間の操作だけで終わってしまうリスクが高いです。
皮肉なことにイメージ力が上がるほどリスクも上がります。(想像だけで満足しがちになります)
必ずしも明確に期限を設定する(固定する)必要はありませんが仮の期限はいつも意識しておく必要があります。
どんな結婚生活を望むのか?を真剣に考えていくと、
- どの年齢でスタートさせるのか?
- 何歳で子どもを授かりたいのか?
- どこまでキャリアを尊重するのか?
などを意識しますよね。
もちろんその中に『大体このくらいかな・・・』という仮の期限も含まれてきます。
そしてこの仮の期限はゴールに向き合う中で決まってくるというのがポイントです。
先にゴールの期限は主導権を持って自分で決めるものと書きました。
その具体的な方法がゴールに向き合う中で仮に決定するということです。
もしこれをゴールに向き合わずに決めてしまうと主導権を手放すことになりがちです。
例えば『何となく30歳までに結婚したい』という期限を設けてしまうなどです。
どういうことかというと20代のうちに結婚したいというのはメディアやSNS、周りの人からの刷り込みです。(そう思わされているだけです)
自分で期限を設定したと思っていても実際は第三者の思惑を反映したゴールにすり替わってしまうのです。(ブライダル・婚活市場ですね)
3.あなたのゴールは何のために設定したのか
あなたがこの記事を読んでいるということはコーチングに興味があってゴール設定をされているからだと思います。
ではなぜゴールを設定しているのでしょうか?
そこに行きたいから、現状を超えたいから、理想的な未来を手にしたいからですよね?
それではいつ、そこに行きたいですか?
もちろんあなたのゴールですからすべての決定権はあなたにあります。
1年後でもいいし、20年後でもいいのです。
ですが、それによって今月何をするか?、今週何をするのか?が違ってきます。
明確に決める必要はありませんが『いつそうなりたいのか?』を意識しておく必要はあります。
さらに重要なのは『出来そうにない、間に合いそうにないくらいがいい』ということ。(ここでも現状の外の制約は生きています)
そもそも大好きなことですから『1日でも早く・・・』と思っていますよね。(謙虚さは無用です)
例えば謙虚に『このゴールには〇〇年後くらいでいいかな』と期限を決めると脳(無意識)は『じゃあこのペースでいいんだな』と判断してしまい現状を変えようとしません。
すなわち、それが素晴らしいゴールでもコーチングが機能しないということです。(現状維持ですからね)
そもそも出来そうなことはゴールではなく目標設定です。
その違いは何かといえば『現状を大きく変える必要がるかどうか』です。
無茶な注文(ゴール設定)を脳にすることで『やばい、このままじゃ全く話にならない・・・』と焦ります。(ストレスを与えます)
それによって『現状を変えなきゃ・・・』となって今までやらなかったことをクリエイティブに考えて行動するようになります。
ゴールは設定したら下げてはいけません。むしろ期限を縮めて前倒しするくらいがいいです。
ゴールを下げるのではなく現状の自分がゴール側へ引き上がって行くイメージですね。
もちろん別のゴールが出てきてそのゴールが必要なくなったら取り下げて構いません。
3-1.have toになりそうで不安です
一方『そんなことをしたらストレスが掛かって楽しめなくなるのでは?』『have to(〜しなければならない)になってしまうのでは?』という意見もあるかと思います。
確かにストレスは掛かりますし、やり過ぎるとhave toになるリスクはあります。
ですが、ストレスは使い方次第です。
好きでやっていることに対して自分でかけるストレスとやりたくないことをやって溜め込んでいるストレスは違います。(ゴール次第ですね)
ゴール達成に使うべきストレスは何かというと『このままじゃやばい、現状を変えなきゃ!!』と気が付いた時です。
慣れ親しんだペースやスピード感、仕事に対する向き合い方では不可能だと気が付いた時です。(現状が揺らいだ時)
すると突き動かされるようにヒーヒー言いながらがむしゃらに走って、ゴール側の自分として様になるように頑張ります。
そして少し余裕ができて周りを見てみるとゴール側の人たちはそのペースが当たり前だと気が付きます。
現状での全力疾走がゴール側では軽いランニングくらいだと気が付いたのです。
気が付くとそこに適応できます。(慣れてしまうし、慣れたいと思うからです)
それが現状が変わった、ゴール側の自分に近付いたということです。
はじめのうちは慣れていないので『これは辛すぎる』『絶対have toでしょ』と思うことも多いと思います。(感覚的に)
ですから、自分で調整しながらストレスを掛けていく必要があります。
4.【検証例1】コーチになって独立起業したいというゴール
ここからは具体的にゴールとその期限について検証していきます。
私がコーチングスクールに在籍していた時のゴールで『プロコーチとして独立して時間と経済的自由を手に入れる』というものがありました。(今はもちろん現状です)
これに関しては実は期限は設定していませんでした。
なぜなら早ければ早いほどいいと考えていたからです。
とはいえ、前職の会社の退職もあり必要だったからスケジューリングをしたというのが実際です。
退職日を決めることで、
- それまでに用意しておくこと
- その後のファイナンス
- 時間が自由になってから取り組むべきこと
- 今の会社で学びたいこと
などがかなりクリアに見えてきた記憶があります。
ですが、これは必ずしもゴールからの逆算ではありません。
現状の外なので逆算は出来ないところもあります。
ですが、退職などを具体的に進めていくことでそのほかのことがくっきり見えてきて期限も決定してくる。
さらにそのことで現実味を帯びてくる、すなわちゴールの臨場感が上がるということになりますね。
まとめますと、ゴールの期限というよりその中で区切りとなる期限を設定することでドミノ倒しのように全体の流れが決まっていったということです。
先述したようにゴールの期限は仮です。
ですからこの事例でのゴールの期限も何度も前倒ししました。
なぜなら日に日にゴールに近付き、ゴールの臨場感が上がってくると、会社員をやっている自分に対する違和感が増えていき耐えられなくなってきたからです。
『もっと出来るだろう』『そんなに時間はかからないよね』というセルフトークが聞こえてくるのです。
ここでもやはり重要なのはゴールに向き合うことですね。
4-1.独立起業のゴールを一つ上の抽象度で見る
今度はこの『プロコーチとして独立して時間と経済的自由を手に入れる』というゴールを抽象度を上げて見てみます。
私の現在のゴールの一つでもある『すべての人が自由に未来をクリエイトする社会の実現』に繋がっています。
このゴールのために『プロコーチとして独立して時間と経済的自由を手に入れる』が必要だと考え設定しました。(ミドルゴールという位置付けですね)
では『すべての人が自由に未来をクリエイトする社会の実現』に期限を設けているかというと設けていません。
とはいえ、自分の目で見届けたいと思っていますから長くてもあと60年くらいしかありません。w
今の自分から見て抽象度が高い、すなわちスケールの大きなゴールほど期限を決めにくいと思います。
ですが『そのためには〇〇が必要だよね』というミドルゴールであれば設定できるかもしれません。
またその先のさらに壮大なゴールに思いを馳せる中で『これは長くても20年以内にやっておきたい』と自分自身の抽象度が上がり見えるかもしれません。
どちらにしても重要なのはゴールに向き合う中でしか見えてこないということです。
- っていうことは〇〇も出来そうだな
- だったらこれは1年以内にマスターしておかないとね
- 今、全エネルギーと情熱を集約させるべきことはこれだ!
などですね。
ゴールをいろんな抽象度で観ることは重要です。
ゴールの中にもいくつものゴールが存在していることに気がつくでしょうし、その先にも壮大な世界が見えるかもしれません。
またバランスホイールで見れば仕事と趣味のゴールが実は繋がっていることに気付くかもしれません。
すると二つのゴールを包摂する一段上の抽象度のゴールが観えてくるかもしれません。(積極的に観るべきですね)
5.【検証例2】大好きな人と結ばれて結婚するというゴール
これは私のクライアントさんのゴールでした。(達成されました)
この人は30代前半の女性で周りの友人が次々に結婚していき家族からもプレッシャーを掛けられて、所謂『早く結婚しなければ』と焦っている状態でした。
割と幼い時から結婚や幸せな家庭を築くという夢はあったそうですが、初めてお話したときはかなり周りからの刷り込みを受けているなという印象でした。
具体的には、
- 早く結婚しないと幸せを逃す
- 家族(パートナーと子ども)があってこそ幸せになれる
- 年々結婚が難しくなって来ている
- 女性の幸せは子どもを産み、育てることだ
などです。
コーチング理論でいうと『気がつかないうちに不本意なゴールが期限付きで設定されていてhave toな状態で苦しんでいる』といえますね。
もちろんご本人は自分のゴール(夢)だと認識しています。
ですから上手く行かない現状に疲れてセルフイメージが低くなっていました。
セッションを重ねて行く中で、
- 自分のゴールだと思っていたものがメディアや第三者からの刷り込みだったこと
- 結婚に対して漠然としたイメージしか持っていなかったこと
- 自分も相手に対してもスペック(学歴・年収・年齢)で見ていたこと
などに気付かれ、自分のゴールに真剣に向き合って行きました。
すると漠然としていた結婚に対するイメージがかなりクリアに見えて来たそうです。
理論的に言えば見えて来たというより積極的に設計していったという感じですね。
あれほど『出来るだけ早く』と焦っていた期限に関しても一度完全にリセットしたそうです。
その上で『大好きな人の子どもを出産する』というゴールを『大好きな人と結ばれて結婚するというゴール』の先に再設定することでwant toで期限を設定できました。
すると自分の中の重要性が大きく変化します。
具体的に言うと理想とする人は意外なほど近くにいた、すでに出会っていたということです。
ご本人は『あれほど婚活を頑張っていたのにウソのよう』とおっしゃっていましたが、これは当然ですね。
自分の中の重要性が変わると本当に見える世界が変わります。
自分に相応しいものが見えるようになる、すなわち手を延ばせるということです。
もちろんそれまでその人を縛ってパフォーマンスを下げていた『1日でも早く結婚しなければ』という強烈なhave toのニセモノのゴールから自由になっています。
さらに本物のゴールに楽しみながら向き合っていますから活力に溢れています。
パフォーマンスも高いですし、シンプルにいえば魅力的になったのです。
当然モテますよね。
want toのゴール、すなわち本物のゴールが如何に重要かが分かる事例だと思います。
もちろん自分のゴールに向き合う中で期限を設定していますからゴールの臨場感アップに貢献しています。
まとめ
そもそもゴールの期限とはどのようなものでしょうか?
それは◯月〇〇日までに〇〇を達成したいといったものではありません。
それだと現状の外のゴールには設定できないですし、無理やりしてしまうとhave toになってしまうでしょう。
なによりゴールとは心から求めてしまうものです。
当然一日でも早く達成したいはずですし、そう思っていいのです。(謙虚さは必要ありません)
ゴールの期限とはゴールに向き合う中で決めていくもの、決まっていくものでした。
ミドルゴール、必要なタスク、周りなどからの必要性でそこからゴールの期限が決まることが多いです。
『自分に相応しい理想の結婚生活をスタートする』というゴールの期限はこれだけでは絶対に決まりません。
自分の理想とする結婚とは何だろう?と向き合う中で決まってきます。
子どもを授かりたいのかどうかを決めるだけである程度決まってきます。
今回の結論は『ゴールの期限はゴールに向き合う中で決めて行く。決まってくる』ということです。
そしてその第一歩が『いつまでに達成したいのかをしっかり意識する』です。
それがゴールに向き合うことであり、臨場感を上げることに繋がります。
人生時間は有限です。加速していきましょう!!
参考になれば幸いです。
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