こんにちは。
プロフェッショナルコーチの中原宏幸( @coach_nakahara)です!
あなたは失敗を異常に恐れたことはありませんか?さらに失敗を恐れることで、新たなチャレンジを踏み留まってしまった経験はないでしょうか?
もしYesであれば、それはとても勿体無いことです。
なぜなら”失敗することの恐怖心”というのは、正しいマインドの使い方を学ぶことでコントロール可能だからです。
夢や目標の達成はもちろん、コンプレックスやネガティブな思い込みを外し、新しい自分になるためには当然ですが、チャレンジが欠かせません。未経験のことや、方法の分からないことに取り組むのは勇気が要りますよね。
そして、ここをスムーズに越えられるかどうかが、その後の結果を大きく左右します。
この記事ではコーチング理論をベースにした『失敗恐怖症を克服するための脳の正しい使い方』〜”失敗の恐怖を取り除く方法”〜をご紹介します。
1.失敗恐怖症とは?
失敗恐怖症をご存知でしょうか?
失敗恐怖症
失敗恐怖症は、恐怖症の一種。自分が何かに失敗、もしくは敗北する可能性に対して極度の恐怖を感じる症状を指す。敗北恐怖症とも。
概要
失敗恐怖症患者は自分がリスクを伴う行動、または伴うと判断した行動を行おうとすることに対して極度に反発・抵抗してしまう。
これは、失敗したときに結果として残る恥ずかしさと屈辱をなんとかして避けたいためである。
そのため、成功の可能性が100%だと判断した行動しか実行できない。
また、自尊心も強く、完璧主義が併合していることが多いが、だからといって完璧主義者が失敗恐怖症であるわけではない。
失敗恐怖症の発症原因
発症原因としてよく見られるのが、子供の頃に失敗した際に莫大な恥や屈辱を周りの人から受け、それがトラウマとなり、一生「挑戦」することが出来なくなる、といったものである。
wikipediaより
失敗のリスクを恐れるというのは誰もが持っている生物としての正常な反応といえます。実際、恐怖や不安を感じなくなると生存率は一気に下がります。
前から武装した人が叫びながら殺意を持って突進してきているのにニコニコしていたらあっという間に命を奪われます。また落ちたら確実に死ぬような高さの崖の上を足元に注意を払うことなく歩けてしまうのは大問題です。
このような状況下の国はいまだに世界にたくさんありますし、日本においても必要な時代も当然ありました。
しかし、今はどうでしょうか?現代の日本で恐怖心というのはほとんど必要なくなっています。むしろ極度に敏感に反応しすぎてしまう方が問題です。必要のない恐れは私たちを萎縮させ、可能性を潰してしまうのです。
新しいチャレンジに対して過剰な恐怖心を感じてしまっていると自分の人生に大きな制限をかけてしまっていることになります。
ですが、感情の一つである恐怖心の仕組みとコントロールする方法を学ぶことで、恐怖心を消そうとするのではなく『恐怖を感じながらも思い通りに行動できる状態』になることは可能です。そして、それが自由に生きる上でとても重要になってきます。
2.他者から見ると大したことない失敗に恐怖を感じる理由
”アンカーとトリガー”という言葉をご存知でしょうか?
『ある心理状態もしくは意識状態』のことをアンカーと言います。
そして、その心理状態を呼び起こす「引き金」となるのがトリガーと言います。
カルト宗教の洗脳に使われることもありますし、強烈な体験によって自然に(自分で無意識に)できてしまうこともあります。
今回の失敗恐怖症でもこの”アンカーとトリガーの関係”が強烈な恐怖体験によって出来てしまっています。
例えば、
- 過去に経験した失敗をクラス全員から笑われてしまった。
- 大事な場面で突然、言葉が出なくなってしまって、誰も助けてくれなかった。
- 犬に追いかけられて、襲われて怪我をした。
これらのことを思い出して、『あの時は”辛かった”、”怖かった”、”嫌だった”なぁ』などと思うのはある意味当然かもしれません。
実際に顔から火が出るほどの恥ずかしい思いや、怖い思いをしたわけですから。(あくまで、本人がしたと思っているということです)
しかし、あまりに強烈に情動記憶として残ると、後の些細な類似した体験(無関係に思えるものでも)によってその”恐怖体験の記憶”(アンカー)が引っ張り出されるのです。それは過去の体験記憶をただ思い出しているだけではなく、今の身体、つまり五感で今感じているようにリアルなものです。
急に震え出したり、冷や汗をかいたり身体感覚を伴うリアルな追体験といえます。
これがアンカーとトリガーの関係であり、様々な恐怖症の原因の一つになっているものでもあるのです。
ただ、恐怖体験は言ってみれば本人の主観なわけです。つまり本人の見方、感じ方、捉え方で解決できてしまうのです。
詳しくは後述していますが、ポイントは冷静に観ることです。(他人事のようなイメージです)
3.失敗の恐怖の正体を知る(トラウマ編)
恐怖を感じている状態というのは、情動に支配されている状態だと言えます。
つまりビビってしまって、震え上がっている状態なのです。
当然、論理的な思考はできていません。(思考停止状態です)
『どう冷静に、かつ論理的に考えても震え上がってしまう・・・』という状態を体験したことのある方はおそらくいないのではないかと思います。
逆説的ではありますが、恐怖を冷静に論理的に思考すれば、すぐに小さくなって感じなくなるレベルまで弱めることは比較的簡単に出来てしまいます。
私の小学生時代の例を挙げますと、笑われたり、恥ずかしい思いをすることに対して強烈な恐怖心を持っていました。
とくに大勢の前で話すことは本当に苦痛でしかありませんでした。声変わりする思春期には緊張してよく声が裏返っていました。そして、それをよく冷やかされていました。
今では笑い話というか、いい思い出ですが、当時の自分にとっては切実な問題だと本気で思っていました。これがいい思い出になっていない、つまり思い出しただけで”身体がブルブル震え出す”など、今の自分に強烈に作用している場合は先述したアンカリングが出来上がっています。
ただ、冷静に考えると分かることですが恐怖に実体などありません。(例えば生命が脅かされるなど)
笑われるのが怖い理由などあるはずがないのです。ではなぜ、当時の私は笑われる恐怖に過敏になっていたのでしょうか?
それは周りの影響です。(とくに親や友達、学校の先生など)
私の家は世間体をすごく気にしていました。
周りの大人や友達が『笑われることは恥ずかしくて苦痛だ!』という考えを持っていたため(言葉や態度に表していたため)、当たり前にそれを受け入れてしまったのです。
ですから、あなたが幼少期に無意識に受け入れてしまった”根拠のない価値観”(とくに有害な価値観)をいつまでも受け入れておく必要などありません。
むしろ意識的に無効化してしまいましょう!
セッションやセミナーの際、よく言われるのが『自分は親からの刷り込みがとても強いために苦労しています』というものです。私も同じように感じていた時期があるので、その気持ちはすごく分かります。
ただ、私たちは何も持たずに生まれてきます。知識はもちろん、歩くことすらままなりません。周りの大人から乾いたスポンジのようにあらゆる情報を吸収するしか無いのです。誰かからネガティブな擦り込みをされないように情報を選別するのは不可能です。
繰り返しますが、自分の未来にとって必要ないと思えば意識的に無効化すればいいのです。
一例ですが私の場合、
家族から当たり前に受け継いだ世間体を極端に気にする価値観
↓
失敗や間違いを恥ずかしいことだと異常に恐れている(現状)
↓
『あれ、でもなんでこんなに失敗や間違いを恐れているんだろう・・・?』(意識に上げる)
↓
『そういえば、家族も同じようなところを気にしているなぁ・・・』(冷静に俯瞰)
↓
『でも、それっておかしいよな。失敗する今の自分より出来るようになった未来の自分の方が重要だ!』(気付き)
↓
『そもそも失敗を過剰に恐れるとチャレンジするチャンスさえスルーしてる。それって大損害じゃないか!!』(ヤバい、変えなきゃっ)
という具合に意識に上げて、修正して行きます。慣れないうちは書き出すのもオススメです。
私はこのワークで『世間体を気にすることって結局、他者から見た自分の評価を気にしているだけだな』と気がつきました。
心の底から”かっこ悪いことだ”と思ったのですぐ改めることができました。(気付けたからです)
自分の体裁ではなく、自分も含めた周りのために何をすればハッピーになれるか?が重要だと気がついたのです。
そのように考えるようになってから未来がひらけて見えましたし、今までよりはるかにエネルギーも出せるようになりました。
4.『ミスは許されない』というプレッシャーを分析
失敗の恐怖心は過去の自分が無意識に受け入れてしまった”有害な価値観”が原因であることは理解していただけたと思います。
これは過去のトラウマとも言える強烈な情動記憶によるものです。これとは別に会社やチームなどでミスのない仕事を求められ続けた時の重圧に耐え切れず失敗の恐怖に囚われてしまった時の対処方法をお伝えします。
ここでも共通して言えることは、恐怖を冷静に論理的に分析してみることです。
絶対成功させなければいけない仕事を例に考えていきましょう。
『失敗は許されない・・・』
この言葉に失敗の恐怖や重圧を感じて自分の実力が発揮できないという経験は私を含め、多くの人が経験済みなのではないでしょうか?
まず知っておかなければならないのが、100%失敗しない仕事ができる人なんていないということです。
たとえ30年のベテランでもミスはします。
どんな世界的なアスリートでもミスは起こるのです。(そうでなければ世界的なストライカーがPKを外すはずがありません)
よくベテランが新入社員に対してプレッシャーをかけることがあります。
私もサラリーマン時代によく『この製品、予備ないからね!』とプレッシャーをかけられました。ここでベテランはどう考えているかというと、当然新人に100%の仕事など期待していません。
もちろん職種や業種にもよるとは思いますが、本当に期待していたらそのベテランの方が問題です。
ですから言葉通りに受け取るのではなく、『全力を尽くせ!』もしくは『全力以上のものを出してみようか!』ぐらいのニュアンスだということを理解しておく必要があります。
そうでなければすぐにミスする恐怖に囚われてしまって、思考停止になってしまいます。
ミスやそれに伴う恐怖心にロックオンしてしまうからです。
想像したくないですが、そうなるとミスの連発です。なぜなら、その時の自分は目の前の仕事に集中なんて全く出来ていません。恐怖心に囚われ、自分の体裁を最優先に考える人になってしまっているからです。
当然、結果も残念な自分のイメージ通りになってしまうのです。今まで出来ていたこともできなくなってしまうでしょう。
ですからミスする恐怖など考えずに全力で取り組めばいいのです。(具体的な方法は後ほど)
それをわかってプレッシャーをかけているのですから。
5.恐怖はあるかどうかではなく、見えているかどうか
恐怖は実体のないものだとお伝えしました。
そこで先ほどのミスの許されない仕事をどういうマインドで行えばいいのかを見ていきます。
あなたはまだ新人にもかかわらず、大きなプロジェクトを任されました。
結果によって、この先の自分のポジションにも関わるような一大プロジェクトです。
もちろん、やる気に満ちていますがプレッシャーに押しつぶされそうになっています。
こんな時どうしますか?
恐怖に実態はありません。
ですから見えるかどうか、感じるかどうかはあなた次第です。
しかし、そうはいっても感じてしまうのは当然ですよね。では恐怖を感じなくするにはどうしたらいいのでしょうか?
あなたはさっきまで感じていた恐怖を感じなくなった経験はありますか?
私はあります!
それは音楽活動を初めて間もない頃、初めてのライブで恐怖に完全に支配されていました。
自分が緊張していることすらわからない感じでした。(身体がガチガチです)
その時は『人間の足って本当に棒になるんだ・・・』と思いました。w
そんな不甲斐ないライブを重ねること数ヶ月、ある時完全に恐怖心を克服できました。
私が何をしたかと言いますと、演奏に集中したのです。
期待はずれの答えですか?
でも本当にこれだけでコントロールできました。
大満足ではありませんでしたが、一応納得できる内容でした。
これは私の経験ですが、もちろんコーチング理論で説明できます。
結果的にやったことは恐怖から目をそらせたのです。
しかし子供の頃に言われていた『怖いのなら見ないようにしましょう。』といったことではありません。
見ないようにするのではなく、観るものを適切なものに変えてしまうのです。私たちは恐怖をただ見ているわけではないのです。
その恐怖が、
- 会社の運命を左右する重大なこと
- 自分の出世に関わるようなサラリーマンにとって重要なこと
ほど、ロックオンしてしまうのです。
目をそらせなくなる”蛇に睨まれたカエル”状態です。
ですから『見ないように、、、』などと言われても、そんなこと出来るはずがありません。
私が行ったのは自分がするべきことにロックオンしたのです。
冷静に考えてみたのです。
今、すべきことな何なのか?を。
それは起こってもいない失敗に怯えたり、萎縮したり、備えたりすることではありません。
私のライブの例であれば、
- お金を払って見に来てくれた人に、今できる最高の演奏を聴いてもらう!
- 自分の作った楽曲を楽しんでもらえるよう、その世界観を精一杯表現する!
などです。
会社のプロジェクトの例であれば、
- まだ新人の自分を信頼して任せてくれた上司が納得してくれる以上のものを提供したい!
- 単純に仕事の面白さに夢中になって楽しむぞ!
などでしょうか。
文章で読むと難しそうですが、実はこのカラクリは単純です。
失敗するかもしれない恐怖、もしくは他者からマイナスの評価にロックオンしているときは、自分が手にする成功や提供できる喜びは見えません。(リアルに感じることはできません)
しかし、自分が成長できる喜び、価値を提供できる喜びにロックオンしているときは恐怖やネガティヴな評価、言動が盲点になり見えなくなるのです。
どちらか一方しか見えないルビンの壺のようなものです。両方見えてるという人もいるかもしれませんが、同時に見えているのではなくスイッチしているのです。意識すればみたい方だけを見ることが出来ます。
ですから、まずリラックスしてその仕事、タスクを何のためにやっていることなのかを再確認して、自分が得たいもの、もしくは提供したいものに適切にロックオンし直すことが重要です。
それをコーチングではゴールといいます。先ほど、恐怖から目を外らせると書きましたが正しくは『本来見るべきものに正しくロックオンする』ですね。
ゴールをしっかり意識して観ることで、
- ゴールに対してどのような姿勢で望むべきか
- このゴールを達成する自分はどのような人物なのか
- 今、何が必要で何に集中すべきなのか?(何を見ないのか?)
などが全て決まっていきます。
そうするとゴールに必要なことを精一杯やることで恐怖心は見えなくなり、結果的に恐怖をコントロールすることが可能になるのです。
ゴール設定が出来るようになる記事はこちら。
『ゴール設定の方法〜劇的な変化を体感するコーチングの基本〜』
まとめ
- 失敗恐怖症は過去の失敗による恐怖体験がアンカーとなっている。
- 無関係に思える最近の失敗(の可能性)を考えただけでそれがトリガーとなってアンカーを引っ張り出す。
- 恐怖を感じている状態というのは、情動に支配されている思考停止状態。
- 幼少期に無意識に受け入れてしまった”根拠のない価値観”をいつまでも受け入れておく必要などない。
- 100%失敗しない仕事ができる人なんていないということを理解する。
- 失ってしまうかもしれない恐怖より得られるもの、提供できる喜びにロックオン。
- リラックスして目的を再確認して、自分が得たいもの、もしくは提供したいものに適切にロックオンし直すことが重要。
恐怖に囚われた状態からリラックスするのは、初めは難しいかもしれません。
ですので私のオススメは別の恐怖を特に感じていないもので練習してみることです。
例えば趣味でやっていること、日常で何気なくやっていることを自己観察してみます。
失うものにロックオンした時と得られる喜びにロックオンしている時を意図的に作り出してみてパフォーマンスの違いを観察してみて下さい。
驚くほどの違いがあると思います!
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