こんにちは。
プロフェッショナルコーチの中原宏幸( @coach_nakahara)です!
プロコーチとして活動していると、『コーチングって効果あるの?効果も分かりにくいんでしょ??』『コンサルティングとどう違うの?』という質問を度々受けます。
正直にいいますとこのような質問は回答に困ります。
なぜなら、お互いのコーチングの定義がそもそも違うと思われるからです。
このような疑問をお持ちの人は『コーチングはコミュニケーション能力を開発するためのツール』『人材育成のためのツール』として捉えていることがほとんどだからです。
もちろんそのような側面もありますし、正しく使えば結果も出るのですが何よりも使い方が重要です。
この記事では、『コーチングのメリットとデメリット』をコーチングを正しく定義した上で実際の場面を想定して解説して行きます。
1.コーチングとは
コーチングとは何でしょうか?
先述したように一般的に日本の企業研修などで取り入れられているコーチングとアメリカのトップ企業や米軍、オリンピックアスリートなどが取り入れているコーチングとは別物と考えていた方がいいでしょう。
コーチング(coaching)とは、人材開発の技法の1つ。
対話によって相手の自己実現や目標達成を図る技術であるとされる。
相手の話をよく聴き(傾聴)、感じたことを伝えて承認し、質問することで、自発的な行動を促すとするコミュニケーション技法である。
コーチング(coaching)の語幹である英語のコーチ(coach) という単語の語源は、ハンガリーのコチ(kotʃ) 地方で製造された馬車が優れていたことに由来し、今日でも乗り物の類がコーチ(coach)を付けた名称で呼ばれることは多い。
類似音の単語は広く大陸欧州の各言語でも馬車や乗り物類の意味で用いられている。
19世紀ごろ、イギリスのオックスフォード大学の学生の間でアルバイトの家庭教師を意味するスラングとしてこのcoachが慣用され、やがて「指導する」という意味の動詞が派生して、名詞の意味にも取り込まれた。
17世紀の中ごろから馬車宿を指す俗語としてコーチング・インが使われることがあったが、ここでのコーチングは指導の意味からきている。
wikiより。
とありますね。
つまり、『自己実現や目標達成を図るために、傾聴と適切な質問を用いて、自発的な行動を促すコミュニケーション技法』ということですね。
こちらは一般的な企業研修などで学べるコーチングです。
現状での無駄やロスを無くし、最適化を図り、生産性を向上させることを目的としています。
一方、アメリカのトップ企業や米軍、オリンピックアスリートなどが取り入れているコーチングはというと、元祖コーチのルー・タイス氏によってそのシステムが作られました。
元祖コーチのルー・タイスという人物がいます。
彼はもともと高校のフットボールのコーチで、その時に選手を指導した経験をもとに、1971年に人材研修プログラムの会社であるTPIを設立しました。
その後アメリカ国内での評価で確固たる地位を築きました。
ルー・タイス氏のコーチングシステムは、米国トップ大企業であるフォーチュン500社の60%以上、英国ではFinancialTimes誌100社の30%以上の企業をはじめ、連邦政府機関、州政府機関、国防総省、警察等にも導入されています。
そして着実な成果を上げ、これらの確実な実績によって、世界的に高い評価を受けているのです。
またスポーツの分野でもアメリカオリンピックチームのコーチ、中国のオリンピック委員会がシステムの導入を図るなど、世界各国のプロスポーツ選手の強化の面でも実績を上げています。
また近年の社会的活動では、ロサンゼルス市警と組んで、ロサンゼルスのストリートギャングの横行による 「未成年者同士の殺人事件の撲滅」にも貢献し、大きな成功を収めています(ベターL.A.プロジェクト)。
では実際にそのコーチングとはどのようなものかといいますと、『私(たち)は最高の〇〇だ!!』というマインドを作るというものです。(かなりザックリですが実際はものすごく奥深いものです)
- 私たちは最高の部隊だ!
- 私たちは最高の水泳選手だ!
- 私たちは最高のビジネスマンだ!
という具合にです。
そしてそのマインドは圧倒的に高い(大きな)ゴールに準じます。
『私はオリンピックで金メダルの最多獲得記録を更新する!』
だから
『私は世界最高のアスリートだ!!』
という具合にです。
実際の戦場や試合で勝敗を左右するのはマインドです。
それはトップアスリートになればなるほど顕著でしょう。
世界の舞台で最高のパフォーマンスを発揮できるのは『自分は最高のアスリートだ!!』とマインドが出来上がっているからといえます。
そのゴール、ゴールに対しての最強のマインドを作るのがコーチングといえます。
2.なぜコーチングが使えないと感じるのか
では、なぜコーチングが使えないと感じている人が多いのかといえば本当の(ワールドスタンダードな)コーチングを知らないのではないかと考えています。
知らないから当然、正しく使えていないと推察しています。
”自分たちは最高のビジネスマンだ”というマインドを会社全体、もしくは部署に導入して結果が出ないはずがありません。
と同時に日本で一般的な『自己実現や目標達成を図るために、傾聴と適切な質問を用いて、自発的な行動を促すコミュニケーション技法』で世界で活躍するようなアスリートやビジネスマンをコーチングできるとは私には思えないのです。
ですが日本で一般的なコーチングを否定する気はありません。
職場においてコミュニケーションの問題は常に付きまとうのではと多くの人が感じているでしょう。(自己対話も含め)
個々のコミュニケーション能力が大幅に改善されれば生産性は確実の上がります。
重要なのはその使い方ですね。
3.コーチングが効果を発揮しない使い方
私がクライアントさんから聞いた事例で上司がコーチング講座を受講して、早速コーチングされたという話がありました、(数人から聞きました)
ひたすら質問攻めにされたそうです。
専業でやっている私からすると『数日や数時間の講座を受けただけで出来るのだろうか・・・?』と思ってしまいます。(実戦で腕を磨くことは重要ですが・・・)
結論から先に言いますと、コーチング理論を徹底的に理解していないと使えません。中途半端はダメです。
上司が部下に対してコーチングしたとしても、中途半端に質問の仕方を習っただけでは部下の方も混乱するだけです。(いい迷惑でしょう)
科学的なコーチング理論を破綻なく理解し、マインドの使い方を先ず自分で実践して成果と体感を得て、初めて他者に使うべきです。
おそらく『明日から使えるコーチング』のようなアレンジがされていたのではと推測しますが、それでは円滑なコミュニケーションぐらいしか望めません。
4.コーチングのメリットとデメリット
私はプロコーチとして日々コーチングセッションを行い、コーチングを教える仕事をしているのでコーチングにはメリットしか感じていません。
その人がその人らしい生き方をする上でマインドの使い方を学ぶのは必須だと確信しています。
今後、子ども達にどうやって届けて行こうか考えているところです。
一応コーチングのデメリットは確かにあります。
その一つは現状に満足している人には使えないということです。
どういうことかと言いますと、コーチングでは現状の外側にゴールを設定し、そのゴールに対して『自分は最高の〇〇だ!!』というマインドを作り上げます。
ですから、現状が気に入っていて、少しだけ改善したいという人には使えません。(その現状では満足できなくなってしまうからです)
効果が強すぎるとも言えますね。
あと具体的な変化、成果を数字でお伝えしにくいということがあります。
『で、どのくらいの生産性アップが見込めるの?』と聞かれても数字ではお伝えし辛いです。(実際は過去のデータでお伝えしています)
ですから、具体的で会社ですぐ使えるアレンジや部分的な解釈の講座がたくさんあるのではないかと思われます。
5.団体やチームで成果を出せる具体的なコーチングの方法
ここでは私が以前、コーチングとコーチング講座で関わった団体にお伝えした方法の一部をご紹介します。
ここで紹介していることだけでも十分効果が出る科学的な方法ですから、お試しいただけたらと思います。
①ゴール設定
②コレクティブエフィカシー
③セルフトークの徹底的なコントロール
先ず重要なのがゴール設定です。
ここでのゴール設定とは個人のゴールではなく、チームで共有するゴール設定です。
団体の構成にもよりますが、代表者が決めてもいいですし、ディスカッションで決めてもいいと思います。
次にコレクティブエフィカシーですが、これは集団で形成するエフィカシー(ゴール達成に対する自己評価)です。
つまり『自分たちはこのゴール(目標)を絶対達成することができるチームなんだ!!』という確信度と言えます。
最後のセルフトークのコントロールですが、普段使っている言葉の影響はとても大きなものです。
無意識に発している心の声もそうですが、お互いにかける言葉を意識に上げてコントロールすることで、自己イメージ(チームのイメージ、認識)をより良いものにコントロールすることができます。
具体的にはネガティブな言葉を一切禁止するというものです。
冗談や自虐ネタなどもいけません。(無意識に冗談は通じません)
もちろん心の声もです。
1週間も続けると心が軽くなっていることを実感して頂けると思います。
参考記事
まとめ
コーチングのメリットとデメリットとチームでの使い方
- 一般的に日本の企業研修などで取り入れられているコーチングとアメリカのトップ企業や米軍、オリンピックアスリートなどが取り入れているコーチングとは別物
- 『私(たち)は最高の〇〇だ!!』というマインドを作るのが本来のコーチング
- 世界の舞台で最高のパフォーマンスを発揮できるのは『自分は最高のアスリートだ!!』とマインドが出来上がっているから
- コーチング理論を徹底的に理解していないと使えない
- 科学的なコーチング理論を破綻なく理解し、マインドの使い方を先ず自分で実践して成果と体感を得て、初めて他者に使うべき
- コーチングは現状に満足している人には使えない
- 具体的な変化、成果を数字でお伝えしにくい