こんにちは。
プロフェッショナルコーチの中原宏幸( @coach_nakahara)です!
『ネガティブな人が周りにいることで被害を被っています』 という相談を度々いただきます。また『自分のネガティブな思考の癖を直したいんです』というお問い合わせもよくいただきます。
今回は『ネガティブな人の特徴と原因〜今日から使える科学的な解決策〜』というテーマで最新のコーチング理論をベースに解説していきたいと思います。
ネガティブな人の言動や行動というのは周りの人に対して、まさにネガティブな影響を及ぼしているケースが多々あります。職場でネガティブな言動や行動を目にすれば生産性が上がるはずはありません。
また趣味などのコミュニティは基本的に楽しむというゴールのもと、集まってきているわけですから、そこに思いっきりネガティブな人がいると居心地が悪くなるのはある意味当然かと思います。
ただ言葉の意味のまま、『ネガティブだからダメ』『ポジティブだから素晴らしい』というわけではないのです。
その人(それが自分でも)がネガティブである理由と原因を掘り下げていくことで『ネガティブな人への対処法』と『ネガティブな思考・行動を改める方法』が見えてきます。
1.そもそもネガティブな人ってどんな人?
”ネガティブ”という言葉は『否定的』『消極的』 という意味です。一方で、”ネガティブな人”の明確な定義があるわけではないので、この記事では『否定的または消極的な思考や態度を繰り返してしまう人』としておきます。
ここではネガティブな人とはどんな人で、どのような特徴があるのかを具体的に7例ご紹介します。
- できるできないに関わらず、とりあえず否定してしまう
- 物事に取り組む前から失敗をイメージしてしまっている
- できない理由、やらない理由を見つけ出す天才
- セルフイメージが極端に低い
- やってみたいことや、チャレンジを思いついても行動できない
- ミスや上手くいかなかったことを引きずってしまう
- 思い込みが激しく、 被害妄想を膨らます癖がある
順番に見て行きましょう。
1-1.できるできないに関わらず、とりあえず否定してしまう
あなたの周りにチャレンジもしないで『できない』『やりたくない』『私には無理です』『それは違うと思います』というような否定的な意見だけを言う人っていませんか?
このような、何事に対しても否定的、消極的な態度を取ってしまう人は、どのような”ものの見方”をして、どんな”思考”をしているのでしょうか。コーチング的な視点で言えば、どのようなフィルター(心のレンズ)が掛かって、どんなプログラムが走っているのか?と考えます。
”とりあえず否定から入ってしまう人”に掛かっているフィルターは、
- 自分を過小評価するフィルター
- 未経験のものは全て過酷な試練に見えるフィルター
- リスクを大きく、チャンスを小さく見せるフィルター
などです。
”とりあえず否定から入ってしまう人”の脳内に走っているプログラムはというと、
- 新しいことは何としても避けたい
- 失敗することは恥ずかしいし怖いもの
- 自分にはできない、でも他人ができることも認めたくない
というものです。
フィルターというのはその人の心に掛かっているレンズのことを指します。 すごくシンプルに言えば思い込みのことですが、たかが思い込みと侮ってはいけません。なぜなら本人たちには本当にそのように見えているからです。
実際、失敗する恐怖や被るかもしれない損害や損失にフォーカスしている時には素晴らしい解決策やアイディアは浮かんでこないものです。 恐怖や損失、すなわちネガティブな情報にとらわれている状態でクリエイティブな思考ができるはずもありません。
自分を過小評価するフィルターがかかっている人は自分の能力やパフォーマンスを正確に把握できないばかりか、強烈なリミッターとして機能しています。なぜなら私たちの能力や発揮できるパフォーマンスは”自分が認識している自己評価”に従うからです。
また、失敗することが怖くて新しいチャレンジは避けたいというプログラムが走っていると、目の前にやってきたチャンスや可能性を自分で遠ざけてしまいます。そのために最も都合のよい言葉が『できない』『やりたくない』『私には無理です』『それは違うと思います』というわけです。
【参考記事】
セルフエスティームとは何か 〜最短で自尊心を高める方法〜
1-2.物事に取り組む前から失敗をイメージしてしまっている
自分にとって大切なことがある日の前日にはイメージトレーニングや脳内シミュレーションを繰り返すと思います。今後の二人の関係が決まる大切なデート、社運を賭けた大事なプレゼン、今後の活動を大きく左右するオーディションなど・・・
技術的な練習はもちろんですが、 綿密なリハーサル、イメージトレーニングがしっかり出来ているからこそ、本番で素晴らしいパフォーマンスが期待できます。
そのイメージトレーニングのイメージがネガティブなものばかりだったらどうでしょうか?もしそのようなイメージにとらわれているとしたら、どんなに厳しい練習を積んでいたとしても期待した結果が得られるはずはありません。
仮に、今そのような”取り組む前から失敗をイメージしてしまう癖”があったとしても心配は要りません。先述したように『自分にどのようなフィルターが掛かっていて、どのようなプログラムが走っているのか?』を理解して修正することで成功をイメージすることができるようになります。 (詳細は後述しています)
私たちの脳内に浮かんでくるネガティブなイメージにはネガティブな言葉が大きく関わっています。コーチングでは内省的な心の声をセルフトークといいます。ネガティブなイメージにとらわれている人はネガティブなセルフトークを繰り返しているケースがとても多いです。
例えば信頼していた人から言われたひどい言葉は心に突き刺さったように感じると思います。さらに自分で望んでいるわけでもないのに心の中で繰り返し再生します。ネガティブな言葉がネガティブなビジョンを作り、セルフイメージを大きく下げてしまいます。
その結果、可能性やチャンス、成功をイメージすることができずに失敗にばかりフォーカスしてしまうフィルターが出来上がってしまうのです。
【参考記事】
ネガティブな言葉の影響とあなたの思い通りにならない人生との関係性
1-3.できない理由、やらない理由を見つけ出す天才
今のあなたから見て大きすぎるチャンスが突然目の前にやってきたら、どのような反応するでしょうか?『ラッキー!!』と言ってそのチャンスに飛びつくでしょうか。
実はほとんどの人が今の自分にとって大きすぎると思えるチャンスや釣り合うように思えない出会いに対しては手を伸ばすことができません。手を伸ばせないどころか、もっともらしい理由をつけて拒絶してしまいます。
ただ、これは特別なことではなく、多くの人に起こることで大抵一度は経験したことがあるのではないでしょうか?
ちなみにこの記事のテーマとは少し逸れますが、 この大きすぎるチャンスに確実に手を伸ばす方法はゴールを設定しておくということです。壮大なゴールを持ち、そのゴール基準で日々生きていると今の自分では怯んでしまうようなチャンスに対しても思い切って手を伸ばすことができます。
話を戻して、なぜネガティブな人が”できない理由・やらない理由”を見つけ出す天才なのかといえば、自分を過小評価しているがゆえに、他の人が当たり前にやっていることでも、自分にとっては大きすぎるチャンスや試練に見えてしまい、無意識レベルで拒絶しているからです。
できなかったことやミスの言い訳はもちろん 、やらなくて良かった理由など無意識がクリエイティブに考え出します。時には体調を崩したり、軽い交通事故にあったりしても避けようとします。
これももちろん、先述したフィルターとプログラムが走っているからです。
【参考記事】
やる気はあるけど行動できない人に伝えたい科学的にデキる人になる方法
1-4.セルフイメージが極端に低い
ネガティブな人のセルフイメージは極端に低い場合が多いです。その理由は先述したようにネガティブなビジョンを持っている人というのはネガティブなセルフトークを繰り返しているケースがほとんどだからです。
ネガティブなセルフトークの具体例として『自分は何をやってもダメだから』『こんなことできるわけない』というものがあります。
一方でポジティブなセルフトークの具体例として『私はチャンスに強い』『私はどんな困難な状況でもリーダーシップを発揮しながら全力で取り組むことができる』というものがあります。
セルフトーク(心の声)の違いがわかりにくければ、このような言葉をかけてくれる上司が自分の中にいると仮定してみて下さい。発揮できるパフォーマンスはもちろん、今後の成長、雰囲気や性格まで変わってきそうですよね。
実際、大きく変わってきます。
もし今、自分のセルフイメージが低いと思っていたとしても心配は要りません。セルフトークを適切にコントロールすることによってセルフイメージを自由に変えることができます。
ここではネガティブな人の特徴としてセルフイメージが低いということをご紹介していますが、本来は逆です。セルフイメージが低いからネガティブな思考や振る舞いをしてしまうのです。
【参考記事】
セルフトークとは何か 〜マネジメントから例文まで実践的な使い方〜
1-5.やってみたいことや、チャレンジを思いついても行動できない
ネガティブという言葉は消極的・否定的という意味でした。これは頭の中に浮かんできた”やってみたいこと”、”新しいチャレンジ”に対しても 否定してしまうということです。
理由は先述したように”成功した未来”より”失敗した未来”にフォーカスしてしまい、成功する可能性を見ることができなくなってしまっているからです。
やり方が分からない、可能性を把握することが難しいチャレンジに対しては、私たちの無意識が拒否反応を示します。ただ、この現状の自分には難しく思えるようなチャレンジに対して拒否反応示してしまうのは当然でなのです。(私たちの誰もが持っている脳の機能のひとつです)
ですが極端に、
- セルフイメージが低い
- 悲観した未来をイメージする癖がついている
- 失敗することは恥ずかしいし怖いこと
などなど
このような思い込み、すなわちプログラムが走っていると少し背伸びをすれば出来てしまいそうなことに対しても”大それたチャレンジ”に思えてしまい、自分で自分の可能性を潰してしまう結果になってしまいます。
さらに、この行動できない状態が強いのは”行動しない自分”、”行動できない自分”を自分の脳がしっかり見ているということです。つまり消極的な自分、行動することに対して否定的な自分を自分自身に提示し続けているということになります。
ここに負のループができてしまい、さらにネガティブな現状に縛ってしまうことになるのです。
【参考記事】
考えすぎて行動できない人がする致命的な間違いと科学的な解決方法
1-6.ミスや上手くいかなかったことを引きずってしまう
思わぬトラブルや不測の事態が起こった際、まず必要なことは、如何にミスやトラブルをケアしていけるような体勢を立て直すことです。とくにここでのマインドセットは非常に重要です。なぜなら多くの場合、トラブルや損害そのものにフォーカスしてしまっているからです。そこを早急にトラブル発生前の状態、さらに望ましい状態に持っていくというゴールにロックオンすべきです。
このマインドセットの本質は”気持ちの切り替え”や”場面切り替え”と言えます。たとえ自分のミスが原因で目の前に大きなトラブルがあったとしても、冷静にゴールに対してロックオンする必要があります。
ただ実際には目の前のトラブルを気にするなという方が無理だと思います。ここも捉え方がポイントになりますが、ゴール(立て直した状態)に思いっきり集中することで目の前で起こったことへの感情的な乱れをマスキングすることが出来ます。
別の視点で言えば、今まさにトラブルの起こった現場で冷静な抽象思考が求められているということです。
ここでのポイントは如何に自分の視点を捨てられるか?です。
『そうは言ってもこのトラブルの原因は自分にあるし・・・』などと思っていては冷静な抽象思考ができるはずはありません。
これも繰り返しになりますが、 『ミスや失敗をすることは恥ずかしいし怖いこと』という思い込みにとらわれていると冷静な思考ができません。私たちは恐怖に囚われた状態ではiQは上がらないようになっています。差し迫った場面、生きるか死ぬかの場面では”逃げるか戦うか”などの単純な思考しかできなくなっているのです 。
【参考記事】
【プロが教える】失敗恐怖症を克服するための脳の正しい使い方
1-7.思い込みが激しく、 被害妄想を膨らます癖がある
思い込みが激しく、ネガティブな妄想を膨らます癖がある人の思考は当然ネガティブなものです。もちろん発言や振る舞いにしてもネガティブなものが多いはずです。
これは先述したネガティブのセルフトークを繰り返すことによって、ネガティブなビジュアライズした未来を見ているということです。
普通の人は聞き流してしまうような些細な事(不安など)を拾い上げ、 無意識レベルで膨らませてしまうのです。
そして思い込みが激しいというのは、今の自分視点にとらわれているということです。相手の視点であったり、自分の置かれた現状を見渡せる高い視点を持つという意識がありません。
そうなると自分が拾い上げ、膨らまし続けるネガティブな妄想にとらわれ、益々そこから出られなくなるというわけです。
ただ、自分の作り上げた妄想にとらわれるというのは悪いことばかりではありません。それがポジティブなものであれば強力な武器になります。自分が心から望む最高の未来のイメージを無意識レベルで膨らまし続け、現状の困難な状況の中でもそのイメージを持ちながら行動し続けることができれば私たちが理想の未来を手に入れるための最高の武器になります。
ちなみにこれがコーチングの本質となります。
【参考記事】
ゴール設定の方法〜劇的な変化を体感するコーチングの基本〜
2.ネガティブな思考でもっとも損するのは本人
ネガティブな人が周りにいると、その場の雰囲気を悪くしてしまったり、著しく生産性を下げてしまいます。 とくに同じプロジェクトに取り組んでいたりすると顕著かと思います。
ですが注意しないといけないのは、ネガティブな思考や行動でもっとも損害を被っているのは本人だということです。
『いやいや、ネガティブなのは本人の問題なのだから自己責任でしょっ』という主張もあるかと思いますが、実はそうでもないのです。詳しくは後述しますが、 ”ネガティブで後ろ向き”なのか、”ポジティブで積極的”なのかというのは持って生まれた性格もありますが、どのような環境で育ったのか?という後天的な要因によるところが大きいのです。
人格が形成される幼少期から大人になるまでの環境、つまり誰にどこで育ててもらうかを自由に選んだという人はいませんよね。これは親御さんに対して失礼な主張になるかと思いますが、客観的事実として捉えて下さい。
その前に大前提として、『なぜネガティブな思考で損をしてしまうのか?』分かるでしょうか?
それは『ネガティブな思考や行動というのは未来に対する否定』だからです。
2-1.未来の否定は誰にもできない
本来、未来の否定というのは誰にもできません。 先述した『できない』『やりたくない』『私には無理です』という自己否定ですが、これは全く意味がありません。
仮に今の自分の実力や発揮できるパフォーマンスを精査して答えていたとしてもです。
なぜなら『今の自分には』という言葉が隠れているからです。つまり『今のあなたには無理かもしれないけど来週にはできるようになってるかもしれないよね?』『もちろん成長していいよ!』ということです。
これを屁理屈のように感じる人もいるかと思いますが、時間の流れを考えると納得すると思います。『私は〇〇だから・・・』と言って自分を未来永劫変わらない存在と捉えているような人がいますが、まさに”今の自分”に深く執われていますよね。
私たちは時間の流れの中で常に揺れ動いている存在ですからね。周りの環境、今いる業界、どんな人たちと付き合うかで私たちは絶えず変化しています。『今の自分がとにかく最高で一切変えたくない』という人以外はニュートラルに、そして積極的になりたい自分になっていいのです。
というより、物質的にも情報的にも満たされた世界においては、なりたい自分になって、より大きな機能・役割を果たしていくことが幸せに直結していると思います。
ただ気持ちとしては『できない』『やりたくない』『私には無理です』と言いたくなるのもわかります。 自分が思いっきり興味があって大好きなことであれば別ですが、なんとなくやっている仕事などでは”未来の否定”、つまり自分が成長することを拒否してしまった方が楽なのです。
なぜなら成長するということは新たなゴールに向かって未体験、未経験の課題を自分に課すということです。これはなんとなく仕事を惰性で続けてきた人にとってはかなりハードルが高いことです。断れるものなら断ってしまいたいと思ってしまうのは当然かと思います。
ですが、今の自分にできること、現状の中だけで生きていると本人は仕事の時だけど割り切っているかもしれませんが自分が心から望む未来が見えた時でさえ、そのチャンスを拒否しかねません。
繰り返しになりますが、未来の拒否というのは無意識レベルで行われています。無意識の反応というのは強烈ですが融通はききません。主語や否定形が認識できないというのはよく言われていることですし、場面毎の切り替えも苦手です。 無気力状態がデフォルトになっていると、ここぞという時にもやはり踏ん張れないのです。
3.なぜ私たちはネガティブなのか?
『なぜ私たちはネガティブなのでしょうか?』
このように尋ねると『いやいや、私は違いますから・・・』とあなたは思われたかもしれません。
ここで私の言うネガティブとは否定的、消極的な態度のことです。先述した”自分にとって大きすぎると思えるようなチャンスの話”を思い出して下さい。
私たちは今の自分にとって大きすぎるチャンス、釣り合うとは思えないような人との出会いなどに対して、無意識レベルで拒絶してしまいます。これは自分の無意識がまさに『私にはふさわしくない』と判断したからです。
少し意地悪な見方ですが、これってすごくネガティブじゃないですか?
大きすぎるチャンスをつかんではいけないという決まりはないですし、今は仮に自分と不釣り合いな相手だったとしても、その人に見合うような人物に急いで成長してしまえばいいことです。
ですが実際は、この知識があったとしても自分の想定を超えるものに対しては無意識レベルで拒絶してしまう確率が高いのです。
まとめると
- 私たちは自分の想定を超えるものに対してはかなりの確率でネガティブな反応をしてしまう
- そのネガティブな反応は所謂”ネガティブな人”の反応と同じ
- 一般的にネガティブと言われている人たちは自分の想定(現状)をすぐに超えてしまう
- その結果、周りから見れば何に対しても否定的・消極的に見える
ということです。
4.ネガティブな人が目指すのはポジティブな自分ではない
以前、『ネガティブな自分を変えたいです』とある人から相談されました。 仕事中はもちろん、プライベートで楽しいことをしている時でさえ、ネガティブなことを考えてしまうというのです。
その人のゴールを聞いてみると『明るくて活発で前向きな女性になりたい』『過剰な心配をしたりビクビクしたくない』とのことでした。
これは一見正しいゴール設定のように思えますが、実は大きな誤りがあります。それは『ネガティブの反対はポジティブではないし、ネガティブな人が目指すのはポジティブな自分ではない』ということです。もちろん言葉ではネガティブの反対はポジティブなのですが、”ポジティブな自分”をゴールに設定としてしまうと上手くいきません。正しくは〇〇するためにネガティブな思考を捨て、自分の可能性を認めて行動する、その結果ポジティブになったと考えるべきです。
確かにいつもポジティブで明るくて活発な人は魅力的であることは間違いないです。ただ一方で落ち着いていて聡明で少し影がある感じの人もとても魅力的です。
これは先述した通り、先天的に持って生まれた性格と育った環境などによる後天的な要因による性格の形成によるものです。
もちろん自分が心から憧れている人になりきってみるというのは悪いことではありません。
ただ、ポジティブな状態というのはあくまで結果です。現状のネガティブな自分に悩んでいる人にとっては身近にいるポジティブな人は憧れかもしれません。だからといって『その人になりたい!』と考えるのは早計です。
4-1.ゴール設定は何にも執われずに理想の自分を掘り下げること
コーチングのゴール設定においては、何よりも未来を大切にします。『未来にこういうことをやっていきたい、だからそんな自分に今からなる必要がある』という考え方です。一方、一般的な目標設定はというと『今の自分は〇〇だから、XXを仕事にしよう』と考えます。これでは今の自分、過去の自分を基準に考えています。
つまり過去の自分に大きく執われていますよね。もちろん今持っている能力や技能を活用することは重要で武器にもなります。ただ『今は〇〇できなから』というネガティブな理由から可能性を狭める必要はないということです。
”ネガティブな自分を変えたい”という人の心理を少し掘り下げると”ネガティブな思考と行動よってこれ以上チャンスや可能性を失いたくない”と考えています。『だから超ポジティブで明るくなりたい!』と短絡的に考えるのではなく、過去から自由になったニュートラルな状態で、どんなことをする最高の自分になりたいのか?目的地とそこでのあり方を設定することが先ず必要です。
このゴールがカーナビの目的地設定であり、理想の自分の設計図、台本になります。
【参考記事】
ゴール設定の方法〜劇的な変化を体感するコーチングの基本〜
【プロ直伝】アファメーションの例文と効果が倍増するリラックス方法
5.ネガティブな思考を止める科学的方法
ここからはネガティブな思考を止める実践的な方法を具体的にお伝えします。ポイントは視点とゴール側の自分のあり方です。
よくあることですが、”もう〇〇はしない”と心に固く誓っても、残念ながらその誓いが果たされることは少ないです。その理由は”〇〇はしない”というのは『頑張って〇〇はしない』と宣言しているからです。つまり『私は本来〇〇をする人間なんだけど、無理して(頑張って)〇〇はしないようにしてるんだ』という宣言なのです。
『そんなの屁理屈じゃないか』と思うかもしれません。ですが今の自分に染み付いた習慣をアップデートするためには無意識の深い部分に対する働きかけが欠かせません。先述した通り、無意識は否定形を認識できませんからね。
では具体的にどうすればいいのかというと、『ネガティブな思考や行動を一切しない新しい自分』になればいいのです。
『いやいや、そんなに簡単に言わないでよ・・・』と思われたかもしれませんが、この方法が一番簡単で確実なのです。
5-1.アファメーションで理想の自分を演じる
流れとしては、
イメージ空間(頭の中)に理想の自分を設定する
↓
朝(出勤前)、夜(就寝前)、時間があるときにアファメーションする
↓
最高の自分を演じるつもりで理想的な自分で振る舞う(仕事プライベート問わず)
↓
できたところを徹底的に褒める
となります。
ちなみにアファメーションとは理想的な未来の自分の在り方を言葉で記述したものになります。作成したアファメーションを継続的に唱えることでゴール側の自分をイメージしやすく、かつ演じやすくなります。(台本として機能します)
ただ、いきなり『理想の自分を設定しましょう、フォーメーションして演じてみましょう』と言われても戸惑うと思います。
その場合はアファメーションの例文を参考にしながら、ぜひ気軽に挑戦してみて下さい。
【参考記事】
【プロ直伝】アファメーションの例文と効果が倍増するリラックス方法
6.ネガティブな人に影響されない方法
『ネガティブな人に影響されたくない』と多くの人は思っていますよね。これは皆さん感じているかと思いますが、ネガティブな言葉や振る舞いをする人からは邪気が出ているように感じられます。これはオカルティックな意味ではなく、私たちは膨大な非言語情報のやり取りをしています。表情・声のトーン・雰囲気・眼差しなど言語以外の、もしくは言語に付随する形で非言語情報を伝達し合っています。
いつも明るく朗らかな人のそばにいると自然にリラックスしてしまいますよね。それと同じように、ネガティブな言動や振る舞いが目立つ人のそばにいると、こちらの気分まで淀んでくるのは当然です。
では、このネガティブな情報を受け取らないようにするにはどうすればいいかというと『そっかぁ、あなたにはそう見えるんだね!!』とネガティブな状態を認めてあげればいいのです。(俯瞰する感じです)
その前に重要な前提知識として、『私たちはそれぞれ別の世界を見ている』ということを理解しなければなりません。どういうことかというと、映画を観たりや小説を読んだ際の感想が十人十色だということは常識かと思います。では実際の現実世界はどうでしょうか?物理的な現実世界で起こったこと、今まさに目の前で起こったことに対しては『私と同じように見ている、同じように感じているに決まっている』という思い込みはないでしょうか。
これは多くの人がそのように錯覚してます。
『映画やアートについてはそれぞれの感性で見ているから十人十色、でも現実は違うよね』という思い込みはかなり強烈にあります。
これまで述べてきた通り、私たちは自分のフィルターを通してしか外の世界を見ることができません。それが映画であっても現実の物理世界であっても脳にとっては同じことなのです。ネガティブなフィルターがかかっていれば、リスクが大きく、チャンスは小さく見えてしまいます。もちろんポジティブな人はその反対です。
ただ感覚的には、同じ場を共有しているわけですから自分と同じものを見ている、同じように感じていると思い込んでしまう気持ちもわかります。私も度々錯覚します。
ですがここで正しい知識を持っていると、『そっかぁ、あなたにはそう見えるんだね!!』とそれぞれ別の世界を見ている、共感する必要は一切ないということがわかります。
ただ、注意しなくてはならないのはネガティブな思考や振る舞いをしている人と場を共有し続けると、少なからず影響されてしまうということです。ここで重要になってくるのがゴール設定とゴール側の自分のあり方です。ゴールがなければ、すなわち『自分は〇〇だ』という自分軸を持っていなければ、その場に流されてしまう確率が一気に高くなってしまいます。
7.ネガティブな人への接し方と距離感
ネガティブな人に対しての適切な接し方、適切な距離感というのは、どのような未来を共有したいか?よって決まります。
7-1.あなたがリーダーとして導く場合
例えば、何に対しても否定的で不平不満ばかり言っている同僚を見ると距離を置きたくなるのは当然かと思います。 ですがその部署で共有しているゴールがある場合はどうでしょうか?また、1年後に独立起業して素晴らしい仲間たちに囲まれて思いっきりビジネスをしているというビジョンを持っていた場合は?
それらのゴールを達成している自分であれば、無気力な仲間に対して見て見ぬふりはしないはずです。むしろこの同僚に対してどのようにアプローチすれば仕事に情熱を注げるようになるだろうか?と本気で考える必要性が生まれてきます。このようにゴールの視点から現状を見ることで、いま自分のすべきこと、取るべき態度が決まってきます。
相手に圧倒的な影響力で「8.ネガティブな人を前向きにする方法」
7-2.未来を共有しないケース
未来を共有しないのであればネガティブな人と積極的に関わる必要性は全くなくなります。その場合は物理的に距離を置く、SNSなどでも繋がらない 、積極的に疎遠になっていくということが重要になってきます。
また特定の人ではなく、ネガティブな人たちの集団についてはネガティブな”場”と考えて下さい。
趣味などのコミュニティであれば先ほどと同様、距離を置き、疎遠になればいいだけです。しかし仕事となると単純に接触しないというアプローチはなかなか使えません。
まず仕事、職場に関しては未来(ゴール)を基準に考えていきます。
- 自分はこの職場でどんな機能を果たそうとしているのか
- 何を学ぼうとしているのか
- あと何年ここにいる必要があるのか
- この職場の次に目指すステージはどこか
などです。
これらをしっかり考えた上で周りの人とどのように付き合っていくかを決定すればいいのです。私のおすすめは思いっきりドライにビジネスライクに接することです。そして必要な期間を追えたら速やかに次のステージへ移行することです。
ちなみに年齢や今持っているスキルなどは関係ありませんよ。今は誰でもスモールビジネスをスタートできる時代ですから。
職場の人間関係のストレスで消耗している人の話を聞くと多くの方が『ずっとこの職場で働き続けなければならない』という前提を受け入れてしまっています。というより自分で作ってしまっていると言った方が正解でしょうか。さらに『職場の人とは仲良くあるべき』という常識も受け入れています。これでは消耗してしまっても無理はありません。
【参考記事】
仕事が嫌で嫌でたまらない人が読むと5分で気持ちが楽になる記事
8.ネガティブな人を前向きにする方法
最後にネガティブな人を前向きにする方法をご紹介します。はじめに断っておきますが、この方法は未来を共有する相手にのみ有効です。また相手を諭したり、説得したりする方法ではありません。ただ、使えるようになるとかなり強力です。
どのような技術を使うのかというと、先述した非言語情報を使います。ネガティブな人たちと場を共有していると、そこに対して引っ張られると言いましたが、当然その逆もあります。ネガティブが伝染するように”覇気”や”やる気”も伝染します。
やり方としてはすごくシンプルで、ゴール側の自分、つまり最高の自分で振る舞い続けるということです。例えば同じプロジェクト、すなわち同じ”場”を共有した中で『どんな困難な場面でもチャンスと可能性だけを見続け、周りに気を配りながらリーダーシップを取って前進する自分』で振る舞い続けるということです。
よく大きな結果を残したスポーツチームのドキュメンタリーなどで選手たちが困難の試合を振り返りながら『みんな諦めかけていたけど〇〇さんがニコニコしながら「絶対大丈夫だ!」と言っていたから心が折れずに持ちこたえることができた』みたいなシーンを見たことがあると思います。
これが出来るのがリーダーです。困難な状況や環境に左右されない信念を持ち、周りにポジティブな影響を与え続けられる人です。
ただ実際には『心をひとつにして、チーム一丸となって ・・・』みたいな機会はそうそうないと思います。そこで普段の状態でも有効なのが、先ずあなたが目の前のタスクを”心から楽しむ”ということです。私たちはエネルギー感の高い人に魅了され、引き込まれます。
ここで言うエネルギー感が高いというのは根性論で死に物狂いで仕事に取り組んでいるという意味ではありません。ワクワクが溢れ出して、心から目の前のことを楽しんでいる時に溢れてくるエネルギー感です。
この高いエネルギーを感じながら、ゴール側の自分で振る舞い、共通のゴールにポジティブに巻き込むことで周りに圧倒的な影響力を与えることができます。
まとめ
ネガティブな人の特徴と原因〜今日から使える科学的な解決策〜
- ネガティブな人にはネガティブなフィルターがかかっている
- ネガティブな人には”失敗が怖いし恥ずかしい” というプログラムが走っている
- ネガティブな思考や行動というのは未来に対する否定
- どんな人でも自分の想定を大きく超えるものに対しては拒絶してしまう
- ポジティブな自分はゴールではなく結果である
- ネガティブな思考を止める唯一の方法はネガティブな思考を一切しない最高の自分になる
- 具体的な方法はゴール設定とアファメーション
- ネガティブな人に影響されない方法は”そもそも同じ世界を見ていない”と知ること
- ネガティブな人への接し方と距離感はゴールを共有するかどうかで決まる
- ネガティブな人を前向きにするにはポジティブなエネルギー感を保ったまま 同じゴールに巻き込む
参考になれば幸いです。
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